セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-052:

PPI投与の中止により改善を認めた胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)の1例

演者 尾関 智紀(愛知医科大学 消化器内科)
共同演者 中出 幸臣(愛知医科大学 消化器内科), 米田 政志(愛知医科大学 消化器内科), 中尾 春壽(愛知医科大学 消化器内科), 伊藤 清顕(愛知医科大学 消化器内科), 佐藤 顕(愛知医科大学 消化器内科), 大橋 知彦(愛知医科大学 消化器内科), 石井 紀光(愛知医科大学 消化器内科), 山本 高也(愛知医科大学 消化器内科), 小林 佑次(愛知医科大学 消化器内科)
抄録 症例は82歳女性。C型肝硬変にて当院通院中、黒色便およびふらつきを主訴に当科を受診。血液検査にてHb8.2と貧血の進行を認めたため、精査目的に入院となった。5年前から胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)からの出血にて、輸血およびアルゴンプラズマ凝固法(APC)にて治療を繰り返されていた。また強皮症が既往にあり、胃食道逆流症状があったためプロトンポンプ阻害剤(PPI)を継続服用しており、2年前に完全房室ブロックにてペースメーカーを装着されている。入院時の上部消化管内視鏡検査にて胃前庭部に全周性の毛細血管拡張を認め、GAVEの増悪と診断した。しかし活動性の出血は認めずAPCは施行せず経過観察する方針となった。過去にGAVEからの出血を繰り返した時期にPPIは継続投与されていたこと、胃食道逆流症状が消失していた期間にPPIを中止していた間黒色便を認めなかったことを考慮し、入院後よりPPI内服を中止した。RCC輸血4単位を施行後貧血の進行は認めず、黒色便も徐々に改善していった。第17病日上部消化管内視鏡を施行したところ胃前庭部の毛細血管拡張は軽快していたため第19病日退院となった。GAVEは肝硬変や透析患者に合併することが多く、ガストリン、プロスタグランディンE2の合成亢進、胃上皮細胞産生の血管拡張性神経伝達物質の関与が疑われているが、その原因は不明である。出血した場合はAPCでの止血療法が選択されるケースが多い。本症例ではPPIの中止によりGAVEが軽快したこと、PPIの中止により血中ガストリン濃度が徐々に低下していったことから高ガストリン血症がGAVE増悪に関与していた可能性が示唆された。PPI中止にて改善を認めたケースは過去に報告がないため、文献的考察加えて報告する。
索引用語 胃前庭部毛細血管拡張症, プロトンポンプ阻害剤