抄録 |
症例は76歳男性。2009年6月に上腹部不快を主訴に近医を受診し、血液検査で肝機能障害を指摘され、当院に紹介された。腹部CT上は肝内胆管の軽度の拡張を認めたが、明らかな肝内占拠性病変は認めなかった。ERCPでは右前区域枝・右後区域枝・左肝管及び総胆管での不整狭窄像を認めた。胆汁細胞診ではclass 4の結果で、胆管内発育型胆管癌と診断した。リンパ節転移や遠隔転移は認めなかったが、病変が広範囲に及んでおり、患者本人が手術治療を希望しなかったため、胆管癌に対してGemcitabine(GEM)療法を開始した。経過中2011年4月に肝機能が悪化し、ERCPで右前区域枝及び総胆管の狭窄の悪化を認めたため、胆管ステント(non-covered・Wallflex® ステント)を留置した。2011年11月、2013年3月にも肝機能が増悪し、ERCPでステント内へのtumor ingrowthを認めたため、それぞれ胆管ステントの留置(ステントin ステント)を行った。経過中胆管炎と閉塞性黄疸の増悪を繰り返しながらも、初診から3年10カ月を経過した現在も生存中である。こうした胆管癌での長期生存例は稀と考えられ、今回若干の文献的考察を加え、報告する。 |