セッション情報 シンポジウム1「消化管疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S1-012:

大腸LSTに対する当院での治療法の変遷および治療成績

演者 水島 隆史(岐阜県立多治見病院 消化器内科)
共同演者 鈴木 雄太(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 市川 紘(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 福定 繁紀(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 井上 匡央(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 加地 謙太(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 安部 快紀(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 岩崎 弘靖(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 西江 裕忠(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 西 祐二(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 奥村 文浩(岐阜県立多治見病院 消化器内科), 佐野 仁(岐阜県立多治見病院 消化器内科)
抄録 【背景】大腸ESDは2010年1月に先進医療として承認,12年4月に保険収載された.当院では先進医療承認前は直腸の病変のみに施行,先進医療承認後は行わず保険収載後は全大腸の病変に施行している.【目的】大腸LSTに対する当院の治療法,治療成績を時代別に検討する.【対象と方法】(1)2008年1月~13年3月に当院で治療したLST245病変,顆粒型:顆粒均一型(UNI)120病変,結節混在型(MIX)59病変,非顆粒型:平坦型(F)46病変,偽陥凹型(PD)25病変の担癌率,SM浸潤率を病型,最大径別に検討した.(2)先進医療承認前(2008年1月~9年12月:期間1),先進医療承認後保険収載前(2010年1月~12年3月:期間2),保険収載後(2012年4月~13年3月:期間3)の20mm以上のLSTの初回治療法を検討した.【成績】(1)UNI120病変で病変径10-19mm/20-29/30-39/40-49/50-=72/34/10/4/0で担癌率3/12/30/75/0%であった.MIX59病変は病変径別に10/25/16/5/で担癌率10/44/81/20/33%であった.F46病変は病変径別に21/19/4/2/0で担癌率24/32/50/50/0%であった.PD25病変は病変径別に1/15/9/0/0で担癌率100/33/56/0/0%であった.SM癌はUNI0.8%,MIX13%,F4%,PD24%,腫瘍径別SM浸潤率(10-19mm/20-29/30-39/40-49/50-)はUNI:0/3/0/0/0%,MIX:0/16/19/20/0%,F:0/0/50/0/0%,PD:0/27/22/0/0%であった.(2)UNI48病変の初回治療(EMR/EPMR/ESD/Ope)は期間1:33/25/8/33%,期間2:28/50/0/22%,期間3:50/44/6/0%であった.MIX49病変では期間1:14/9/32/45%,期間2:13/56/0/31%,期間3:9/0/82/9%であった.F25病変では期間1:33/0/0/66%,期間2:29/43/0/29%,期間3:13/0/88/0%であった.PD25病変では期間1:0/13/50/38%,期間2:17/33/0/50%,期間3:0/0/100/0%であった.【結論】UNIはSM浸潤がまれで,MIXは20mm以上で16%がSM浸潤癌,Fは30mm未満で0%(0/40)に対し30mm以上で33%(2/6)がSM浸潤癌であった.PDは,サイズに関わらずSM浸潤を認めた.期間3ではEPMRとOpeの割合が低下していた。今回の検討でもLSTに対するESDの有用性は明らかであり,特に20mm以上のMIX,30mm以上のFおよび全サイズのPDはESDの良い適応であると考えられた.
索引用語 大腸LST, ESD