セッション情報 一般演題

タイトル O-090:

主膵管内進展と多発肝転移をきたした膵神経内分泌腫瘍の1例

演者 松浦 弘尚(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科)
共同演者 芳野 純治(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 乾 和郎(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 若林 貴夫(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 三好 広尚(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 小坂 俊仁(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 友松 雄一郎(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 山本 智支(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 成田 賢生(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 鳥井 淑敬(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 森 智子(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 黒川 雄太(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 細川 千佳生(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 安江 祐二(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院 消化器内科), 川辺 則彦(同 外科), 守瀬 善一(同 外科), 溝口 良順(同 病理部)
抄録 症例は65歳男性で主訴は腹部不快感であった。既往歴は糖尿病、高血圧で近医に通院中であった。現病歴は2011年11月上旬に腹部不快感があり近医を受診した。腹部CTにて膵体部の腫大、主膵管拡張、多発肝腫瘍を認めたため、11月下旬に当院の外科に紹介され精査と加療のため入院となった。現症は、眼結膜に貧血と黄染なし、腹部は平坦、軟で明らかな圧痛を認めなかった。血液検査所見は空腹時血糖254mg/dl、HbA1C 9.9%(NGSP),CEA 5.5ng/ml,CA19-9 106.5U/mlと耐糖能異常と腫瘍マーカー高値を認めたが、肝胆道系酵素、膵酵素の異常は認めなかった。腹部USでは、膵体尾部に25mmの低エコー腫瘍と肝内に多発する腫瘍を認めた。膵dynamicCTでは膵体部に動脈相から淡く造影される腫瘍と尾側の膵管拡張を認めた。多発肝腫瘍も同様に淡い造影効果を認めた。EUSでは膵体部に30×14mmの低エコー腫瘍と尾側の膵管拡張を認めた。ERPでの膵管像は体部主膵管にカニ爪様の途絶を認め、尾側の膵管は造影されなかった。同時に行った膵液細胞診は陰性であった。 以上から主膵管内進展と多発肝転移をきたした膵神経内分泌腫瘍と診断した。肝腫瘍は多血性腫瘍と判断し12月中旬に肝動脈化学塞栓術(TACE)を施行したところ抗腫瘍効果を認めたため、2012年1月下旬に膵体尾部脾合併切除が施行された。病理組織学的所見は膵体部に大きさ25×19mmでリボン状索状の配列を呈し、主膵管内に結節状の進展をきたしていた。免疫染色ではchromogranin陽性、synaptophysin陽性、CD56陽性、CD31陽性、MIB-1の腫瘍細胞標識率は1.2%であった。最終的な病理診断はWHO2010年分類でNeuroendocrine tumor NETG1であった。主膵管内進展と肝転移をきたした膵神経内分泌腫瘍の1例を経験したので、若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 膵神経内分泌腫瘍, 主膵管内進展