セッション情報 一般演題

タイトル O-010:

S状結腸に粘膜下腫瘍様隆起病変を呈した原発性腹膜腺癌の1例

演者 二見 肇(菊川市立病院 内科)
共同演者 石橋 るり(菊川市立病院 内科), 中根 浩伸(菊川市立病院 内科)
抄録 原発性腹膜腺癌が消化管内腔に粘膜下腫瘍様隆起を呈することは非常にまれである。今回我々は、S状結腸に粘膜下腫瘍様隆起病変を認め、大腸がんと鑑別を要した原発性腹膜腺癌を経験したので報告する。【症例】56歳、女性。【主訴】喘鳴【現病歴】H24年11月頃より喘鳴があり、近医受診し喘息治療を受けるも改善せず、その後、腹部膨満感が出現し、胸腹水の疑いで当院紹介。【経過】胸レ線、腹部エコー、CTにより胸腹水を認め、胸水、腹水細胞診で、腺系異形細胞adenocarcinomaと診断。原発検索のため下部消化管内視鏡施行し、S状結腸に頂部軽度陥凹した粘膜下腫瘍様隆起病変を認めた。S状結腸腫瘍生検で、小胞巣状に配列する異形細胞の浸潤を認め、免疫染色Vimentin(-)、MUC5A(-)、MUC6(-)、TTF(-)、WT-1(+)、GCDFP15(-)、ER(+)より卵巣漿液性腺癌類似と診断。PET所見は胸膜、右横隔膜下、腸間膜、骨盤腹膜、S状結腸に集積を認められるも、卵巣には明らかな集積を認めず、原発性漿液性腹膜腺癌と診断。Tri-weekly TC(PTX+CBDCA)を施行し、胸腹水は消失、経過良好で現在外来経過観察中である。 【考察】 原発性腹膜腺癌は、腹膜に播種し腫瘤を形成することはあるものの、消化管内腔に腫瘤を形成することは稀であり、これまで10数例の報告があるのみである。不確実な診断で消化管原発として治療を行うことは、予後に大きく影響する。そのため、稀ではあるが、腹水著明で原発不明な消化管隆起病変の鑑別に、腹膜腺癌も念頭におくことは重要と考え報告する。
索引用語 原発性腹膜腺癌, 大腸粘膜下腫瘍