セッション情報 |
一般演題(専修医(卒後3-5年))
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タイトル |
O-030:腹痛と血便により突然発症したCollagenous colitisの一例
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演者 |
山田 弘武(名古屋セントラル病院 消化器内科) |
共同演者 |
川島 靖浩(名古屋セントラル病院 消化器内科), 安藤 伸浩(名古屋セントラル病院 消化器内科), 中村 博式(名古屋セントラル病院 消化器内科), 真鍋 孔透(名古屋セントラル病院 消化器内科), 小宮山 琢真(名古屋セントラル病院 消化器内科), 山内 浩輝(名古屋セントラル病院 消化器内科) |
抄録 |
【症例】58歳,女性【主訴】腹痛【既往歴】便秘症,脂質異常症【現病歴】平成24年11月より嚥下時違和感あり.同年12月上部消化管内視鏡検査施行し,胃食道逆流症の診断でランソプラゾール30mg内服を開始した.平成25年1月31日24時頃より腹痛あり硬い便を排便した.その後軟便と腹痛が続くため2月1日受診.同日精査加療目的に入院となった.【現症】腹部は平坦,軟で左下腹部に圧痛を認めた.反跳痛や筋性防御のような腹膜刺激兆候は認めず,腸雑音は減弱していた.WBC13900/μL,CRP2.85mg/dLと炎症反応を認め,腹部CTでは横行結腸左側から下行結腸に浮腫状の壁肥厚と周囲脂肪織の混濁を認めた.【入院後経過】病歴と腹部CT所見より虚血性腸炎を疑い,絶食,補液による治療を開始した.第3病日には腹痛は改善し,食事摂取を再開した後も問題なく経過したため第5病日に退院となった.2月18日夕食後より再度左下腹部の強い疼痛と少量の血便を認めたため19日受診.20日下部消化管内視鏡検査を施行すると,下行結腸に辺縁の整な浅く細い縦走潰瘍を認めた.2条の縦走潰瘍のうち一方の潰瘍底は再生上皮で覆われており,発生時期が異なるものと思われた.ランソプラゾールによるcollagenous colitisを疑い,内服を中止したところ,以後腹痛の再燃は見られなかった.生検組織所見で異型を見ない表層性再生上皮の増生と基底層の硝子様肥厚を認め,被覆上皮直下にアザン染色で青染するcollagen bandの形成を認めたことよりcollagenous colitisと確定診断した.【考察】2002年WilcoxらがPPIに起因すると考えられるcollagenous colitisを初めて報告して以来,同様の報告例が国内外で増加している.慢性の水様性下痢が特徴的とされるが本例では認めず,腹部CTでは虚血性腸炎や感染性腸炎を疑うような所見を示し,診断にやや苦慮した.若干の文献的考察を加えて報告する. |
索引用語 |
collagenous colitis, ランソプラゾール |