セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-064:

後上膵十二指腸動脈瘤破裂血管内治療後に十二指腸狭窄を来した一例

演者 山田 健太(名古屋第一赤十字病院 消化器内科)
共同演者 春田 純一(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 山口 丈夫(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 土居崎 正雄(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 石川 卓哉(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 山 剛基(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 亀井 圭一郎(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 村上 義郎(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 服部 峻(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 八鹿 潤(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 植田 恵子(名古屋第一赤十字病院 消化器内科), 長谷川 一成(名古屋第一赤十字病院 消化器内科)
抄録 【症例】70歳代、男性【主訴】心窩部痛【既往歴】狭心症、発作性心房細動【病歴】平成24年12月、冷汗を伴う胸痛を認め当院救急搬送となった。【現症】血圧105/76mmHg、脈拍109回/分、腹部平坦軟、圧痛なし、腹部造影CTで後腹膜血腫、膵頭部領域に嚢状動脈瘤を認めた。来院後ショックバイタルとなり、輸血を行った後、血管造影で後上膵十二指腸動脈に動脈瘤を確認し、コイル塞栓術を施行した。大動脈造影で正中弓状靭帯症候群を疑う所見を認めた。第2病日のCTで後腹膜血腫は著明に縮小した。第3病日より食事を再開したが、第9病日より嘔吐が見られ、第10病日のCTで十二指腸下行脚の狭窄を認め、NGチューブを挿入した。第17病日に行った上部消化管内視鏡検査では十二指腸下行脚の浮腫性狭窄を認めた。経鼻内視鏡で狭窄部通過可能であり、W-EDチューブを留置し経管栄養を開始した。以降、1日1000ml程度の排液が見られたが、第31病日に排液が減少し、ガストログラフィン造影で狭窄の改善を確認しチューブを抜去した。同日施行した上部消化管内視鏡検査では狭窄の改善を認めたがわずかに残存していた。第37病日に再検し狭窄は改善、第43病日に退院となった。【考察】膵十二指腸動脈瘤破裂は稀な疾患である。本症例は正中弓状靭帯症候群に伴う膵十二指腸動脈領域に起きた動脈瘤破裂と考えた。動脈瘤治療は、本例のごとく血管内治療を行うほか、外科的治療があるが、本例では血管内治療を行うことで出血のコントロールが可能となりその有用性が示された。また、処置後十二指腸狭窄を来し、粘膜浮腫は認めるも虚血を示唆する色調変化を認めず、保存的加療を選択した。狭窄部位より肛門側にW-EDチューブを留置できたため、経管栄養を施行できた。【結語】正中弓状靭帯症候群に伴う膵十二指腸動脈領域に起きた動脈瘤破裂に対し、血管内治療で止血を行った後十二指腸狭窄を認めたが、保存的に軽快した一例を経験したので考察を加え報告する。
索引用語 後上膵十二指腸動脈瘤, 十二指腸狭窄