セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル O-031:

腸管スピロヘータ症の2例

演者 東堀 諒( 安城更生病院 消化器内科)
共同演者 馬渕 龍彦( 安城更生病院 消化器内科), 三浦 眞之祐( 安城更生病院 消化器内科), 脇田 重徳( 安城更生病院 消化器内科), 宮本 康雄( 安城更生病院 消化器内科), 鈴木 悠土( 安城更生病院 消化器内科), 小屋 敏也( 安城更生病院 消化器内科), 岡田 昭久( 安城更生病院 消化器内科), 竹内 真実子( 安城更生病院 消化器内科), 細井 努( 安城更生病院 消化器内科), 山田 雅彦( 安城更生病院 消化器内科)
抄録 【症例1】56歳、男性。主訴は心窩部痛と血便。既往歴は高血圧、痔核、大腸ポリープ、鼠径ヘルニア。1ヶ月前より水様性下痢が出現、その後も心窩部痛と血便が持続するため当院内科受診。発熱や腹部の圧痛は認めなかった。WBC 10100/μL, CRP 0.2mg/dL. 腹部CTで上行結腸から横行結腸に浮腫と周囲脂肪織濃度の上昇を認めた。下部消化管内視鏡検査では全結腸にびらんや粘膜発赤が散在し、回盲弁および結腸からの生検でリンパ球、形質細胞を主体とした炎症細胞の浸潤を認めた。cryptitis、腺管配列の乱れは認めず、培養は陰性であった。非特異性腸炎と考え整腸剤内服で症状は一旦改善傾向となったが、下痢、腹痛症状が再出現したため2ヶ月後に再度下部消化管内視鏡検査を施行した。粘膜所見は前回と著変を認めなかったが、発赤部の生検で大腸上皮表面に好塩基性を呈する毛羽立ち像を認め、腸管スピロヘータ症と診断した。メトロニダゾール内服を開始し、現在経過観察中である。【症例2】65歳、男性。主訴は便通異常。既往歴は帯状疱疹、高血圧。1ヶ月持続する便秘、下痢のため当科受診。WBC 6900/μL, CRP 2.94mg/dL.下部消化管内視鏡検査では直腸の粗造粘膜、浮腫を認め、生検組織で炎症細胞の浸潤、cryptitis を認めたため潰瘍性大腸炎と診断し、メサラジン内服を開始した。9ヶ月後に経過観察目的で下部消化管内視鏡検査を施行した。内視鏡所見は前回検査と著変なく、盲腸に発赤、直腸に粗造粘膜、アフタ様びらんを認めた。盲腸からの生検で粘膜表面にフリンジ状の好塩基性構造物の密な付着を認め、腸管スピロヘータ症と診断した。アンピシリン内服を開始したが7日目で蕁麻疹が出現したため中止した。現在症状は消失しており、経過観察中である。【考察】腸管スピロヘータ症は比較的稀な疾患である。臨床症状を欠くことが多いが、自経験の様に下痢・血便などを呈した症例も報告されており、病原性については意見の一致を見ていない。今回腸管スピロヘータ症の2例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 腸管スピロヘータ, 腸管感染症