セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-058:

EUS-FNA診断に有用であったリンパ節原発ガストリノーマの1例

演者 鈴木 博貴(豊橋市民病院 消化器内科)
共同演者 山本 英子(豊橋市民病院 消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院 消化器内科), 藤田 基和(豊橋市民病院 消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院 消化器内科), 山田 雅弘(豊橋市民病院 消化器内科), 松原 浩(豊橋市民病院 消化器内科), 竹山 友章(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 浩敬(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院 消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院 消化器内科), 芳川 昌功(豊橋市民病院 消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院 消化器内科)
抄録 【症例】66歳 女性【主訴】黒色便【既往歴】統合失調症【現病歴】平成24年2月出血性十二指腸潰瘍にて入院加療。その後転院しPPI内服治療を継続したが、潰瘍は難治性で心窩部痛、消化管出血が持続していた。血中ガストリン値が3000pg/mL以上と高値であったため、Zollinger-Ellison症候群の疑いで当院転院搬送となった。腹部CTにて膵や十二指腸に腫瘤は認めなかったが、膵頭部近傍にリンパ節腫大を認めた。EUSでも膵内にガストリノーマを示唆する所見は認めず。膵頭下部のさらに足側に境界が不整で、大きさ13×10mmの類円型の低エコー腫瘤を、またすぐ頭側にも7×5mmの同様の低エコー腫瘤を認めた。膵との連続性はなくリンパ節腫大と考えられた。EUS-FNAを施行したところ、病理で弱好酸性の胞体を有する腫瘍細胞が小胞巣状にみられ、Neuroendocrine tumorと診断、免疫染色でガストリン陽性であり、ガストリノーマと診断に至った。精査の結果多発性内分泌腫瘍症は否定され、外科的治療の適応と判断した。局在診断の目的に選択的動注カルシウム負荷試験を行い、胃十二指腸動脈、背側膵動脈にて陽性であった。8月下旬に膵頭十二指腸切除術を施行、病理所見では切除された膵頭頭部、十二指腸、胃には明らかな腫瘍は認めず。郭清リンパ節においてn13a、n14d、n14pに腫瘍がみられ、免疫染色でガストリン陽性でありリンパ節原発のガストリノーマと判明した。術後は経過良好であり、再発所見なし。【考察】ガストリノーマは膵臓、十二指腸に約90%が発生するといわれ、その他は10%にすぎない。そのうちリンパ節原発ガストリノーマとはガストリノーマがリンパ節内のみに存在し、さらに切除後再発をしないことと定義されており、本邦ではリンパ節原発ガストリノーマの報告は少ない。また、リンパ節原発ガストリノーマとEUS-FNAにて診断し得た報告例はなく、極めて稀な症例と考えられたため報告する。
索引用語 ガストリノーマ, EUS-FNA