セッション情報 |
一般演題(研修医(卒後2年迄))
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タイトル |
O-099:膵仮性嚢胞内出血の脾弯曲部結腸穿破が疑われた慢性膵炎の一例
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演者 |
町野 英徳(藤枝市立総合病院) |
共同演者 |
大畠 昭彦(藤枝市立総合病院), 丸山 保彦(藤枝市立総合病院), 景岡 正信(藤枝市立総合病院), 森 雅史(藤枝市立総合病院), 志村 輝幸(藤枝市立総合病院), 宇於崎 宏城(藤枝市立総合病院) |
抄録 |
【症例】60歳男性【主訴】血便【既往歴】高血圧、糖尿病、アルコール性慢性膵炎、外傷性くも膜下出血【家族歴】特記事項なし【生活歴】飲酒歴:ウイスキー2~3杯現在まで、喫煙歴:30本×40年【現病歴】1997年アルコール性急性膵炎発症。2005年慢性膵炎急性増悪時に膵頭部の膵仮性嚢胞内出血が十二指腸に穿破しTAEを施行した。2009年膵尾部に膵仮性嚢胞が出現した。2012年8月膵尾部の膵仮性嚢胞内に出血を認め脾仮性動脈瘤にTAEを施行した。2012年12月血便があり、冷汗を伴い動けなくなったので救急搬送され、精査加療目的に入院となった。【入院時現症】身長163.0cm、体重46.0kg、BMI17.3kg/m 2、BP127/88mmHg、HR98bpm/min, regular、BT35.4℃、SpO2 100%(room air)、全身:悪寒、shiveringあり、眼瞼結膜:貧血様、胸部聴診:肺雑音(-)、心雑音(-)、腹部:平坦、やや硬、圧痛(-)、反跳痛(-)【血液】Hb11.3g/dl【CT】膵尾部に45×35mmの膵仮性嚢胞を認め、内部に径12mmの脾仮性動脈瘤を認めた。【GIF】Vater乳頭からの活動性出血なく、陳旧性の出血を疑わせる出血痕も認めなかった。その他にも出血性病変を認めなかった。【CF】脾弯曲部結腸に鱗状に発赤し中央に潰瘍を伴うなだらかな立ち上がりの浮腫状隆起病変を認めた。出血は認めなかった。CF所見から壁外病変を疑いCT画像を再考すると二房性を呈した膵仮性嚢胞が脾弯曲部結腸と接しており、同部位で仮性嚢胞内出血が結腸穿破した可能性が考えられた。【入院後経過】血管造影を行い、脾動脈の分枝から発生した脾仮性動脈瘤にTAEを施行した。TAE後は消化管出血なく、治療に関連する有害事象も認めなかった。【考察】膵仮性嚢胞内出血に続発する消化管出血としてHemosuccus Pancreaticusが有名だが、今回の血便の原因は膵仮性嚢胞の結腸穿破という稀な合併症が考えられた。本例では血行動態が安定しておりTAEによる保存的治療が有効だった。【まとめ】膵仮性嚢胞内出血の結腸穿破が疑われた一例を経験した。本例においてはTAEが有効であった。 |
索引用語 |
膵仮性嚢胞内出血, 結腸穿破 |