セッション情報 | 一般演題 |
---|---|
タイトル | O-082:Sister Mary Joseph’s noduleを契機に発見された膵癌の1例 |
演者 | 岩岡 泰志(浜松医療センター 消化器内科) |
共同演者 | 影山 富士人(浜松医療センター 消化器内科), 松永 英里香(浜松医療センター 消化器内科), 石田 夏樹(浜松医療センター 消化器内科), 太田 和義(浜松医療センター 消化器内科), 下山 真(浜松医療センター 消化器内科), 松浦 愛(浜松医療センター 消化器内科), 末廣 智之(浜松医療センター 消化器内科), 森 泰希(浜松医療センター 消化器内科), 住吉 信一(浜松医療センター 消化器内科), 川村 欣也(浜松医療センター 消化器内科), 吉井 重人(浜松医療センター 消化器内科), 山田 正美(浜松医療センター 消化器内科) |
抄録 | 【はじめに】臍への悪性腫瘍の転移はSister Mary Joseph’s nodule(SMJN)として知られ、Virchow転移やSchnitzler転移と同様予後不良な徴候とされている。今回我々は臍部の腫瘤にて発症した膵尾部癌に伴うSMJN症例を経験したので報告する。【症例】54歳男性。平成24年12月より臍のしみる感じや擦過での痛みを自覚していた。平成25年2月上旬に近医皮膚科を受診し、皮膚腫瘍を疑われ当科紹介となった。臍部の皮下に硬結を伴う腫瘤を認め、生検にて腺癌の所見を認めた。また腹部CTおよびMRIにて膵尾部に8cm大の嚢胞成分を伴う腫瘤を認め、さらに肝両葉に多発性腫瘤および腹膜播種を認めた。腫瘍マーカーはCEA47.3ng/ml、CA19-9 1148U/mlと高値であった。血液・画像検査より肝転移・腹膜播種に加えて臍転移を来した膵尾部癌と診断し、臍部の所見はいわゆるSMJNと診断した。また膵尾部の腫瘍は二次的な嚢胞形成を伴うものと判断した。治療については2月下旬よりGEM1000mg/m2+TS-1 80mg/m2による化学療法を開始した。25年4月現在2コース目の化学療法を行っているが、副作用や症状の増悪はなく経過しており、引き続き厳重な管理のもと治療を継続する予定である。【考察】内臓癌の皮膚転移は剖検上全内臓悪性腫瘍の1.4-4.4%とまれであり、さらに臍転移はそのうちの4-5%に過ぎないとされている。SMJNの原発臓器として胃・膵臓・大腸・卵巣などが知られているが、いずれも原発巣に先行して発見されることも多く予後は著しく不良である。日常診療において十分注意すべき症状であるとともに、SMJNが疑われる場合は迅速な全身検索・治療方針決定が重要と考える。若干の文献的考察を加え報告する。 |
索引用語 | 膵癌, 転移 |