セッション情報 一般演題

タイトル O-125:

食道がんサルベージ手術後の乳び胸治療においてリンパ管造影検査が有用であった1例

演者 川上 次郎(愛知県がんセンター中央病院)
共同演者 安部 哲也(愛知県がんセンター中央病院), 植村 則久(愛知県がんセンター中央病院), 川合 亮佑(愛知県がんセンター中央病院), 浅野 智成(愛知県がんセンター中央病院), 佐野 力(愛知県がんセンター中央病院), 伊藤 誠二(愛知県がんセンター中央病院), 小森 康司(愛知県がんセンター中央病院), 千田 嘉毅(愛知県がんセンター中央病院), 三澤 一成(愛知県がんセンター中央病院), 伊藤 友一(愛知県がんセンター中央病院), 木村 賢哉(愛知県がんセンター中央病院), 木下 敬史(愛知県がんセンター中央病院), 大澤 高陽(愛知県がんセンター中央病院), 舎人 誠(愛知県がんセンター中央病院), 岩田 至紀(愛知県がんセンター中央病院), 倉橋 真太郎(愛知県がんセンター中央病院), 清水 泰博(愛知県がんセンター中央病院), 篠田 雅幸(愛知県がんセンター中央病院)
抄録 食道がん術後乳び胸の多くは周囲組織との癒着により自然軽快する。しかし、化学放射線治療後のサルベージ手術の場合、周囲組織の治癒機転が障害されているため癒着形成が不十分となり治療に難渋する場合がある。今回我々は、食道がんサルベージ手術後の乳び胸においてリンパ管造影検査が治療に有用であった1例を経験したので報告する。症例は69歳男性、2011年10月胸部食道癌(Mt. cT3N2M0 cStage3B)に対し術前補助化学療法としてFP2コース施行したところ左反回神経麻痺が出現した。PDと判断し、化学放射線療法(FP4コース、60Gy)を施行しところ、2012年8月GIFでCRが得られた。2012年12月フォローアップのGIFで再発を認めたため、サルベージ手術(右開胸開腹食道亜全摘、2領域郭清、胸骨後経路、胃管再建、頸部吻合術)を施行した。RTの影響で縦隔内組織の線維化を認め剥離に難渋したが、胸管は確認でき、温存した。術翌日から胸腔ドレーン排液が乳びとなり1-3L程度の排液が続いた。術後10日目に左足背からリピオドールリンパ管造影を行った。右胸管は不明瞭で、左胸管を全長に確認し、右胸腔上縦隔領域の2か所でリピオドールの漏出点を確認した。リンパ管造影後、胸水の排液はやや減少したが800ml/day程度で持続した。術後13日目に胸腔ドレーンからピシバニールを注入したが改善しなかった。そこで、リンパ管造影の所見を参考に、術後17日目に透視下で右上縦隔の漏出点へ胸腔ドレーンルートからカテーテルを誘導し、同部位へピシバニールを重点的に注入した。その結果、翌日より乳糜の排液が著しく減少し300ml/日前後となった。術後24日目に胸腔ドレーンを抜去した。その後再燃なく、術後30日目で退院となった。当院では、難治性乳び胸にはリンパ瘻の部位同定、および造影剤(リピオドール)注入に伴う炎症性癒着形成によるリンパ瘻の軽減を目的にリンパ管造影検査を施行している。本症例においてはリンパ瘻の減少は不十分であったが、漏出部の確認ができたために同部位への重点的な癒着術が施行でき、保存的に軽快させることが可能であった。
索引用語 乳び胸, リンパ管造影