セッション情報 シンポジウム2「肝胆膵疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S2-010:

Diffusion-weighted MRIによる胆管病変の診断

演者 菊山 正隆(静岡県立総合病院 消化器科)
共同演者 松崎 晋平(鈴鹿中央総合病院内科), 鈴木 直之(静岡県立総合病院 消化器科), 白根 尚文(静岡県立総合病院 消化器科), 黒上 貴史(静岡県立総合病院 消化器科), 重友 美紀(静岡県立総合病院 消化器科), 山田 友世(静岡県立総合病院 消化器科), 榎田 浩平(静岡県立総合病院 消化器科), 青山 春奈(静岡県立総合病院 消化器科)
抄録 【背景】良性胆道狭窄は胆管癌に臨床像や画像は近似し、POCS、IDUSなどを用いても容易には鑑別がなされない症例がある。ましてや胆道の専門内視鏡医がいない施設での上記の検査は実施しがたい現実がある。一方で、CTやMRIは標準的な市中病院において客観的画像の得られる実施可能な検査である。我々は、CT画像による胆道病変の鑑別について報告した(IgG4関連硬化性胆管炎の臨床像とCT診断~胆管癌との鑑別診断について~日本消化器病学会雑誌)。今回はMRI-DWIによる胆管病変の診断について報告する。【対象・方法】外科治療を含めた病理組織学的に診断の確定した胆管癌群16例、病理組織学的に癌を証明されず2年以上の経過で病状の悪化のないことを確認できた良性胆道狭窄群10例(IgG4SC:PSC:原因不明:好酸球性:術後=4:2:2:1:1)を対象とした。b値800sec/mm2にて作成されたADC-MAPにて胆管病変部のADC値を計測した。【結果】胆管癌群においてほぼすべての症例で結節状に病変が描出され、ADC値の計測が可能であり、平均1.39x10-3mm2/s(0.96~2.15x10-3mm2/s)でった。一方、良性胆道狭窄群においてはIgG4SC1例、好酸球性1例を除き病変の描出は淡く、2例において同定困難であった。8例おけるADC値は平均1.41 x10-3mm2/s(1.03~1.87x10-3mm2/s)であった。両者間には有意差を認めなかった。【考察・結語】胆道病変におけるADC値の測定は、病変が良好に描出される悪性病変では可能だが、描出不良の良性疾患では難しい。良性疾患のADC値は病変部のみならず周囲結合織を大きく含む結果になっている可能性がある。今回の検討において良悪性のADC値に有意差が生じなかったが、病変の描出の良悪が病変の良悪性の判断基準になる可能性がある。胆管病変は横断画像においての描出は小さいが、CTおける鑑別法と合わせて用いることにより、その有用性はさらに高められることが期待される。
索引用語 MRI, 胆道