セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-096:

仮性膵嚢胞内出血を来した自己免疫性膵炎の1例

演者 青山 春奈(静岡県立総合病院 消化器科)
共同演者 菊山 正隆(静岡県立総合病院 消化器科), 榎田 浩平(静岡県立総合病院 消化器科), 山田 友世(静岡県立総合病院 消化器科), 重友 美紀(静岡県立総合病院 消化器科), 黒上 貴史(静岡県立総合病院 消化器科), 白根 尚文(静岡県立総合病院 消化器科), 鈴木 直之(静岡県立総合病院 消化器科)
抄録 【症例】63歳、男性。黒色便、腹痛を主訴に入院した。関節リウマチ、COPDの既往を有した。4年前に自己免疫性膵炎の診断を受けた。2年前に胃小弯側に血腫を形成したが、血管造影にて明らかな異常所見を指摘されず塞栓術を行わなかった。この時よりステロイド治療が導入された。入院2か月前のCTにて前回出血と同様の部位に仮性膵嚢胞の形成を認めた。入院時血液検査にてHb 8.8g/dlの軽度の貧血を認めた(1か月前;Hb11.0g/dl)。IgG4 177mg/dlであった。単純CTにて嚢胞内に高吸収域を認め、造影CTにて動脈瘤を確認した。血管造影にて左胃動脈分枝に動脈瘤の形成と造影剤の漏出を認めた。同病変に対し、コイルとスポンゼルにより塞栓術を実施した。出血の12日目にERCPを実施した所、仮性膵嚢胞を介して膵管から胃内腔への造影剤の漏出を確認した。胃内腔からの観察で胃小弯にドーム状に粘膜下隆起があり、その頂点に発赤した小さな陥凹があり、造影カテーテルが挿入され、仮性膵嚢胞が描出された。治療後約3か月間、再出血の徴候はなく、CTにて仮性膵嚢胞の形成もない。【考察】自己免疫性膵炎に伴う仮性膵嚢胞内出血を経験した。おそらくは仮性動脈瘤の形成によるものと考察する。黒色便は仮性膵嚢胞と胃内腔との交通による消化管への出血の結果と考えられる。2年前の出血では、その3か月前のCTにて仮性膵嚢胞の形成が確認されていないが、同様に仮性膵嚢胞内への出血であった可能性がある。
索引用語 自己免疫性膵炎, 仮性膵嚢胞