セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | O-056:多発他臓器転移を来した深達度M未分化型胃癌の1例 |
演者 | 室井 航一(刈谷豊田総合病院 内科) |
共同演者 | 坂巻 慶一(刈谷豊田総合病院 内科), 濱島 英司(刈谷豊田総合病院 内科), 中江 康之(刈谷豊田総合病院 内科), 仲島 さより(刈谷豊田総合病院 内科), 松浦 倫三郎(刈谷豊田総合病院 内科), 小林 健一(刈谷豊田総合病院 内科), 澤田 つな騎(刈谷豊田総合病院 内科), 内田 元太(刈谷豊田総合病院 内科), 井本 正巳(刈谷豊田総合病院 内科), 小川 裕(刈谷豊田総合病院 内科), 鈴木 敏行(刈谷豊田総合病院 内科), 伊藤 誠(刈谷豊田総合病院 病理科) |
抄録 | 【症例】66歳,女性【主訴】不正性器出血【既往歴】特記事項なし【経過】2007年3月に不正性器出血を発症し,当院産婦人科受診したが,異常所見なく経過観察となっていた.2012年9月に同様の症状で再度受診し,経腟エコーにて右卵巣腫瘍を指摘された.CTでは左肺尖部の結節性病変と縦隔リンパ節の腫脹,右卵巣腫瘍を認めた.PET-CTにて右卵巣だけでなく,左上葉と一部骨にも集積像がみられた.原発性肺癌を疑い産婦人科と呼吸器内科にて精査が進められ,消化管疾患の転移の可能性も考え上部消化管内視鏡(以下EGD)を施行したが,明らかな異常は指摘出来なかった.原発巣の診断も兼ねて,2012年10月25日産婦人科にて子宮と両側付属器切除術が施行された.しかし,病理組織診断では印環細胞癌と診断された為,当科へ再度精査依頼となった.EGD再検では,前庭部後壁に発赤所見を認め,色素散布像ではインジゴをはじく粘膜不整像がみられたが境界は不明瞭であった。又、prepylorus後壁にもびらん所見を認め,それぞれから生検を施行した.生検結果から印環細胞癌と診断され,病理組織上も原発として矛盾しないとの結果であった.後日施行したEUS(10MHz)では胃の病変は粘膜内にとどまっており,深達度Mと考えられた.胃癌と肺癌の重複癌の可能性も考えられた為,骨生検も兼ねて,11月21日に胸腔鏡下左上大区切除を行った.肺の病理結果は原発の腺癌として矛盾しないという診断ではあったが,一部に印環細胞の浸潤を認めた.また縦隔リンパ節,骨にも印環細胞の浸潤を認め,改めて胃癌の多発転移と診断した.現在,TS-1とCDDPによる抗癌剤にて治療中である.胃粘膜内癌によるKrukenberg腫瘍の報告は検索する限り稀であり,本症例では更に他臓器にも転移をきたしていた.今回,深達度Mが疑われた未分化型胃癌の多発他臓器転移をきたした1例を経験したので,若干の文献的考察を加え,報告する. |
索引用語 | 未分化型胃癌, 多発他臓器転移 |