セッション情報 一般演題

タイトル O-108:

腹部造影CT検査、小腸ダブルバルーン内視鏡により迅速に診断しえたMeckel憩室出血の一例

演者 杉山 智哉(春日井市民病院 消化器科)
共同演者 菅野 琢也(春日井市民病院 消化器科), 奥田 悠介(春日井市民病院 消化器科), 森岡 優(春日井市民病院 消化器科), 羽根田 賢一(春日井市民病院 消化器科), 尾関 貴紀(春日井市民病院 消化器科), 池内 寛和(春日井市民病院 消化器科), 望月 寿人(春日井市民病院 消化器科), 平田 慶和(春日井市民病院 消化器科), 高田 博樹(春日井市民病院 消化器科), 祖父江 聡(春日井市民病院 消化器科), 伊藤 哲(春日井市民病院 外科), 山口 竜三(春日井市民病院 外科)
抄録 【症例】16歳、男性【主訴】下血【既往歴】2009年にも消化管出血にて入院歴あり【現病歴】受診数日前より下血症状あり、2012年12月28日近医受診。受診時ショックバイタルであり、当院救急搬送となった。【現症】意識清明、BP:145/80mmhg、HR:108回/分、BT:35.0℃、腹部:平坦、軟、圧痛なし、直腸診:暗赤色の血液付着【血液検査所見】WBC7900/μl、Hb12.2g/dl、PLT173x103/μ、BUN18.9mg/dl、Cre0.53mg/dl、CRP0.04mg/dl【経過】来院時、腹部造影CT検査を施行し、骨盤内小腸内腔に造影剤の漏出を認めた。小腸からの出血が持続していると判断し、RCC6単位輸血施行。バイタルサインに注意しながら前処置をし、同日緊急経肛門的小腸ダブルバルーン内視鏡検査を施行した。バウヒン弁より約40cm口側の回腸に憩室を認めた。検査時に出血は無かったが、近傍に凝血塊が散在していたことと、挿入できた口側腸管までに病的所見を認めなかったことから、憩室出血を疑い、マーキングを施行し終了した。第8病日に上部消化管内視鏡検査、小腸造影検査施行。憩室より口側に出血源となるような病変は認めなかった。第12病日に行った99mTcO4-シンチグラフィ検査では、小腸には異常集積を認めなかった。検査所見及び、経過よりMeckel憩室出血と判断し、第22病日に腹腔鏡下憩室楔状切除術を施行した。切除標本の病理組織学的所見では、憩室粘膜の大部分は異所性胃底腺粘膜より構成されていた。術後経過は良好であり、第27病日に退院。現在まで再出血は認めていない。【考察】Meckel憩室の発生頻度は全剖検例の2%であり、そのうち15~25%に様々な合併症が出現しているとの報告がある。合併症発生頻度は腸閉塞が36.5%と最も多く、出血は11%である。胃粘膜シンチグラフィの陽性率は30~40%との報告があり、本症例では集積を認めなかった。今回、腹部造影CT検査にて小腸からの出血を確認できたため、経肛門的小腸ダブルバルーン内視鏡検査を施行し、迅速な診断に至ったと考えられる。Meckel憩室出血に関し若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 憩室, 出血