抄録 |
【症例】67歳 女性【主訴】主膵管拡張【既往歴,家族歴】特記すべきことなし【現病歴】食欲不振にて近医受診,同院にてCEA の高値を認め,PET-CTを施行された.この時主膵管拡張を指摘され,精査・加療目的で当科へ紹介された. 【現症】結膜 貧血 (-), 黄疸 (-) 心肺所見 特記すべき事項なし 腹部 平坦,軟,圧痛 (-)肝,脾,腫瘤触知せず【入院時検査成績】CAE9.2,Elastase-1 610と軽度高値を認めた.腹部CTでは膵体尾部に主膵管の拡張および尾部の多発のう胞病変を認めた.FDG-PETでは,膵尾部ののう胞病変の中等度の信号域であった.MRCP,EUSでは膵尾部のう胞病変内に直径5-10mm大の数個の結節を認めた.ERCP施行,膵管融合不全であり副乳頭より主膵管にアプローチ,副乳頭の粘液による開口はなかった.造影では,主膵管は体部より徐々に拡張しているが欠損はなかった.尾部の多発のう胞形成部に欠損像を認めた.IDUSでは主膵管内に5mm程の,尾部の多発のう胞形成部に10mm程の高エコー隆起を認め,結節と判断した.以上より膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)混合型と診断し,膵体尾部切除を行った.膵体部から尾部にかけての主膵管の拡張,尾部に主膵管と連続する多発のう胞病変を認めた.MRCP, IDUSにて結節と診断した病変は指摘できなかった.最終診断は,Ptb, TS1, PCM(-),DPM(-),D1, R0, Tis, CH(-), DU(-), S(-), RP(-), PV(-), A(-), PL(-), OO(-), N0, M0, Stage 0 IPMC (CIS), n0, であった.【考案】本邦の膵管融合不全はHayakawaらの報告では1%前後とされている。本症例は膵管融合不全に合併した背側膵管より発生した体尾部の混合型IPMCであり、比較的まれな症例であり、若干の文献的考察を踏まえ報告する。 |