セッション情報 一般演題(研修医(卒後2年迄))

タイトル O-119:

食道粘膜下へ完全迷入した針金による食道異物の1例

演者 多和田 祥子(土岐市立総合病院 内科)
共同演者 白井 修(土岐市立総合病院 内科), 下郷 友弥(土岐市立総合病院 内科), 安田 諭(土岐市立総合病院 内科), 清水 豊(土岐市立総合病院 内科)
抄録 症例は68歳、男性。主訴は胸部違和感。既往歴は胃潰瘍瘢痕。家族歴に特記事項なし。平成24年9月頃より食道にひっかかった感じを自覚していたが放置していた。同年11月に近医で上部消化管内視鏡検査(以下EGD)を施行した。胸部上部食道に粘膜下腫瘍様病変を指摘され、平成25年1月31日に当院紹介となった。2月6 日に当院にてEGDを施行した。切歯から25cmの食道に肉芽組織を伴った粘膜下腫瘍様病変を認め、胃・十二指腸観察後の引き抜き時に同病変の頂部から呼吸性変動で見え隠れする針状の金属が突出するのを認めた。同日予定していた超音波内視鏡は中止。同日の胸部単純CT検査では、大動脈弓レベルの食道に約20mmでL字型の針金状金属が食道粘膜下に迷入していたが、明らかな動脈損傷や消化管穿孔の所見は認めなかった。2月12日に入院。当院外科とも相談した上で、同日に本人・家族の希望通り内視鏡的食道異物摘出術を施行した。まず、内視鏡を病変まで挿入したが異物は観察できず、透視下で確認しながら開いた把持鉗子を粘膜に押しつけて針金の先端を掴んで内視鏡ごと肛門側に押し込んで異物を摘出した。翌日の胸部造影CT検査でも明らかな動脈損傷や消化管穿孔の所見は認めず、第3病日から食事開始。経過良好のため第8病日に退院となった。自験例の様に穿孔を伴わず完全迷入する食道異物は比較的稀である。内視鏡で異物が確認できない症例では食道外切開で異物を摘出することもあるが、自験例ではCTによる迷入した金属の形状の把握と透視による位置情報、そして異物の形状に合わせた内視鏡操作によって手術をすることなく異物を除去することができたと考えられた。
索引用語 食道異物, 完全迷入