セッション情報 一般演題

タイトル O-005:

壁外性の発育を認めた横行結腸癌の1例

演者 内田 元太(刈谷豊田総合病院 内科)
共同演者 坂巻 慶一(刈谷豊田総合病院 内科), 濱島 英司(刈谷豊田総合病院 内科), 中江 康之(刈谷豊田総合病院 内科), 仲島 さより(刈谷豊田総合病院 内科), 松浦 倫三郎(刈谷豊田総合病院 内科), 小林 健一(刈谷豊田総合病院 内科), 澤田 つな騎(刈谷豊田総合病院 内科), 室井 航一(刈谷豊田総合病院 内科), 井本 正巳(刈谷豊田総合病院 内科), 鈴木 敏行(刈谷豊田総合病院 内科), 伊藤 誠(刈谷豊田総合病院 病理科)
抄録 症例は60歳,男性.主訴は発熱.既往歴は糸球体腎炎にて腎移植,腰部脊柱管狭窄症.2012年9月頃より発熱があり,10月16日に当院を受診した.Hb5.6g/dLの貧血と,CRP15g/dLの炎症反応高値を認めたため精査加療目的に入院となった.腹部触診では左上腹部に圧痛と,やや硬い腫瘤を触知した.腫瘍マーカーは血清CEA,CA19-9,可溶性IL-2Rのいずれも基準値内であった.腹部造影CT検査では,左上腹部に横行結腸と連続した46×63mm大の内腔を有する腫瘤と胃前庭部大弯に接して18×13mm大の腫瘤性病変を認めた.PET-CT検査では,横行結腸の壁と連続して壁外性に発育する腫瘤を認め,腫瘤辺縁部に強い集積を認め,胃前庭部大弯側の腫瘤には有意な集積を認めなかった.上部消化管内視鏡検査では胃内に腫瘤を認めなかった.大腸内視鏡検査では,脾弯曲寄りの横行結腸と連続し,腸管壁外へ突出する,内腔を有する腫瘤を認め,内腔には上皮性変化のある不整な粘膜が拡がっていた.引き続いて施行したガストログラフィンを用いた注腸X線検査では,腸間膜付着側に空気にて容易に変形する内腔を有する腫瘤を認めた.非典型的な形態であり,悪性リンパ腫等も鑑別疾患として考えられたが,腫瘤の生検ではGroup 5, mucinous adenocarcinomaの結果であった.壁外発育型大腸癌,術前Stage2Bの診断にて,11月14日に外科にて横行結腸切除術,D3郭清を施行し,胃前庭部大弯側に接して粘液結節性の播種も認められたため同時に切除した.切除標本では横行結腸に3型の腫瘍が確認され,腹膜播種を伴った壁外発育型横行結腸粘液腺癌,pSE(P1),ly0,v0,pStage4と診断された.ご本人の希望により化学療法は行わずに経過観察中であるが,現在までのところ再発は認めていない.今回,壁外発育型横行結腸癌の1例を経験した.本疾患は比較的まれな特異な形態を呈した大腸癌であり,若干の文献的考察を加えて報告する.
索引用語 壁外発育型大腸癌, 粘液癌