セッション情報 |
シンポジウム2「肝胆膵疾患の診断と治療の最前線」
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タイトル |
S2-013:IgG4関連硬化性胆管炎における胆管生検の診断能とステロイドの治療成績
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演者 |
竹山 友章(豊橋市民病院 消化器内科) |
共同演者 |
松原 浩(豊橋市民病院 消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院 消化器内科) |
抄録 |
【背景】2012年にIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)の独立した診断基準が発表された。自己免疫性膵炎(AIP) の重要な除外疾患が膵癌であるのと同様に、IgG4-SCの除外対象は胆道癌であり、診断に病理学的な裏付けが重要なのは言うまでもない。しかし、AIP の病理学的所見が胆膵管生検、EUS-FNAで得られる一方で、IgG4-SCではほぼ胆管生検によってのみである。治療においてもAIPに準じてステロイド治療が行われている。【目的】IgG4-SCにおける病理組織学的所見を得るための経乳頭的胆管生検の診断能とステロイド治療の成績をretrospectiveに評価すること。【対象】2003年2月から2013年2月までに、当科で経験したIgG4-SC臨床診断基準2012満たす連続した11例。内訳は男性9例、女性2例。平均年齢:69.2±2.0歳(58歳~80歳)。診断時血清IgG4値:平均値510.3±115.5mg/dL(79~1100mg/dL)。全例AIPを合併していた。【方法】EUSないし、ERCPに引き続いて施行した管腔内超音波検査により胆管壁肥厚を確認した。経乳頭的胆管生検は可能な限り胆管直接造影における狭窄部位、あるいは胆管壁肥厚部位から5カ所以上の生検を行った。ステロイド治療は全例プレドニゾロン(PSL)0.6(mg/体重kg/日)で導入し、その後2~4週継続後に2週間毎5mg ずつ漸減した。維持量は個々の年齢、基礎疾患に応じて2.5mg~5mgとした。【結果】11例中5例に胆管生検を行い、1例でIgG4陽性細胞浸潤を、1例でリンパ球および形質細胞浸潤を認めた。花筵状線維化と閉塞性静脈炎を認めた症例はなかった。PSL治療は 11例中有症状であった10例に導入し、全例で胆管病変の改善を認めた。治療例のうち1例は、内服を自己中断し、維持療法中に再燃した。11例は全例生存中である。【結論】IgG4-SCの病理組織学的根拠を得る手段としての経乳頭的胆管生検の成績は満足いく結果ではなかったが、胆道悪性疾患は否定し得ていた。PSL治療はAIP 同様の投与法で全例に改善が認められ、有効な治療であった。 |
索引用語 |
IgG4関連硬化性胆管炎, 経乳頭的胆管生検 |