セッション情報 シンポジウム2「肝胆膵疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S2-016:

SPNの診断における造影超音波内視鏡検査(CE-EUS)の有用性

演者 杉本 啓之(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
共同演者 廣岡 芳樹(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 伊藤 彰浩(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 大野 栄三郎(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 伊藤 裕也(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 鷲見 肇(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 林 大樹朗(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 桑原 崇通(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 森島 大雅(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 中村 正直(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学DELIMITER名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部)
抄録 【背景と目的】膵Solid-pseudopapillary neoplasm(SPN)は若年女性に好発する低悪性度の稀な腫瘍で出血壊死性の嚢胞形成が特徴的とされるが、男性例や嚢胞を伴わない非典型例の報告も少なくない。膵神経内分泌腫瘍(PNET)も嚢胞や被膜形成などSPNと類似した形態を呈し、両者の鑑別には血行動態の評価が有用とされる。SPNの診断におけるCE-EUSの有用性についてPNETとの鑑別に注目して検討した。【対象】2007年1月から2012年12月の間にCE-EUSを施行し、病理組織学的診断を得たSPN9例9病変とPNET31例33病変。【方法】1)両群のEUS(B-mode)所見、2)CE-EUSにおける輝度評価および造影後のcolor Doppler mode(CD-mode)所見をretrospectiveに比較検討した。なおSonazoid®の適応外使用については当院生命倫理委員会の承認を得て行っている。【結果】1)無エコー領域(SPN/PNET):2病変(22%)/11病変(33%)、側方陰影:3病変(33%)/9病変(27%)、石灰化:4病変(44%)/2病変(6%)で石灰化をSPNに多く認めた(P=0.013)。2)Sonazoid®投与後、両群ともに速やかな輝度上昇を認め、造影効果は1分後まで持続した。CD-mode観察ではSPNは全例腫瘍充実部に不均一な血流シグナル(focal type)を、PNETは29例(88%)に充実部分に均一な血流シグナル(diffuse type)を認めた。focal typeをSPNと診断した場合、sensitivity/specificity/accuracy=100%/87%/90%であった。Time-intensity curve(TIC)を作成したSPN7例、PNET26例において、腫瘍内の輝度増加率(SPN/PNET):3.38/4.04、輝度増加速度:10.03/13.43、輝度減少率:0.19/0.23はいずれも両群間で差を認めなかった。周囲膵実質における輝度変化との比は、輝度増加率比:1.41/5.63、輝度減少率比:1.10/1.07、輝度増加速度比:0.82/1.71であり、輝度増加速度比で両群に有意差を認めた(P=0.012)。輝度増加速度比のROC解析の結果Cut off値は0.86(AUC0.813)となり、0.86未満をSPNとするとsensitivity/specificity/accuracy=55%/93%/84%で診断可能であった。【結語】SPNの診断においてCE-EUSでの血行動態の評価が有用である。
索引用語 SPN, CE-EUS