セッション情報 シンポジウム2「肝胆膵疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S2-017:

低悪性度膵腫瘍に対する立体構築画像を用いた至適術式の選択-膵管・胆管・血管3D合成画像を用いた手術シミュレーション-

演者 鈴木 淳司(浜松医科大学 医学部 第二外科)
共同演者 坂口 孝宣(浜松医科大学 医学部 第二外科), 木内 亮太(浜松医科大学 医学部 第二外科), 武田 真(浜松医科大学 医学部 第二外科), 平出 貴乗(浜松医科大学 医学部 第二外科), 柴崎 泰(浜松医科大学 医学部 第二外科), 森田 剛文(浜松医科大学 医学部 第二外科), 今野 弘之(浜松医科大学 医学部 第二外科)
抄録 【背景・目的】低悪性度膵腫瘍は、腫瘍の生物学的悪性度と進展範囲のみならず、膵管や胆管、各種脈管系との立体的な解剖学的位置関係の把握が術式の立案に重要となる。我々は血管立体構築画像に膵実質、膵腫瘍、MRCPによる膵管・胆管像を融合する3 D”all-in-one”画像に基づいた術式立案を行ってきた。作成画像を供覧し、その有用性について述べる。【方法・対象】2010 年6月に本方法を導入した。それ以降に手術を施行した低悪性度膵腫瘍10例を対象とした。男女比5:5、年齢26-82歳(中央値67歳)。原疾患はIPMN4例、膵神経内分泌腫瘍5例(insulinoma2、gastrinoma1、 non-functioning2)、ITPN(intraductal tubullo-papillary neoplasm)1例。術前に64列造影MDCTとMRCP を撮影し、画像解析ソフトSynapse VINCENT(FUJIFILM)を用いて動脈、門脈、膵実質、膵腫瘍、膵管、胆管を立体構築後に融合して、3D”all-in-one”画像を作成した。施行術式はPD2、DP4、膵全摘1、腫瘍核出2、膵中央切除1例。手術病理所見と同所見を比較検討した。【結果】3D”all-in-one”画像の作成にはおおむね90分を要した。MRCPとMDCT像は膵管を重ねることで容易にずれのない3D fusion画像が作成可能であった。全ての症例で血管構造物と腫瘍との立体的な解剖学的位置関係が把握可能であり、術中所見と一致した。特に、IPMN3例全例で術前ERCPなどとの組み合わせで過不足ない切除が可能となり、insulinoma2例全例で腫瘍と主膵管・膵内胆管との距離把握により安全な低侵襲手術(核出術)が可能であった。【結語】膵腫瘍に対する3D”all-in-one”画像診断は腫瘍と膵管、胆管、血管との解剖学的位置関係が明瞭に視覚化でき、至適術式の立案に有用である。特に、IPMN症例や低悪性度膵神経内分泌腫瘍などの低侵襲手術が必要な症例に対しては、過不足ない術式立案、シミュレーションが可能であった。
索引用語 立体構築画像, 膵腫瘍