セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-144:巨大肝血管腫の1例 |
演者 | 荒川 直之(JA岐阜厚生連 東濃厚生病院 内科) |
共同演者 | 長屋 寿彦(JA岐阜厚生連 東濃厚生病院 内科), 宮本 陽一(JA岐阜厚生連 東濃厚生病院 内科), 野村 翔子(JA岐阜厚生連 東濃厚生病院 内科), 藤本 正夫(JA岐阜厚生連 東濃厚生病院 内科), 吉田 正樹(JA岐阜厚生連 東濃厚生病院 内科), 山瀬 裕彦(JA岐阜厚生連 東濃厚生病院 内科) |
抄録 | 【はじめに】肝血管腫は頻度の高い疾患であるが、良性腫瘍であり切除術が施行されることは少ない。今回我々は症状に乏しく、報告されている中でも比較的サイズの大きな血管腫を経験したので若干の考察を加えて報告する。【症例】56歳男性。既往歴なし。喫煙歴なし。飲酒はビール350ml/日。9月上旬に発熱のため近医受診した際、肝機能障害を認めたため腹部超音波検査を施行し、肝腫瘍を指摘。精査目的で当科紹介受診となった。当科受診時は解熱しており、自覚症状は腹部の軽度圧迫感のみであった。肝機能はγGTP245IU/Lと高値であったが、AST/ALT/T.Bilは基準範囲内で、血小板の減少や凝固系の異常は認めなかった。腫瘍マーカー(AFP/PIVKA2/CEA/CA19-9)も基準範囲内であった。腹部超音波では、肝右葉全体が結節様で、正常肝実質が認められなかった。また、一部区域では血管は描出されるものの、全体としては血流に乏しく、胆管もほとんど描出できなかった。ダイナミックCTでは動脈相で腫瘤は造影されず、門脈相・平衡相で徐々に辺縁が濃染されたが、中心部の造影効果は認めなかった。MRIでは、T1強調画像で低信号、T2強調画像で高信号であった。上記より肝血管腫と診断したが、腫瘤の最大径が約30cmと巨大で腹部圧迫感もあり、破裂のリスクも考えられた為、肝右葉切除術を施行した。病理組織学的所見も海綿状血管腫に一致する所見であった。【考察】巨大肝血管腫の報告はしばしばなされ、出血や凝固異常などの合併症を伴うものも多く報告されている。自覚症状があるもの、Kasabach-Merritt症候群を伴ったものや急速に増大するものは手術の適応と考えられる。また、血管腫が破裂し緊急手術となった場合の救命率は高くはなく、10cmを超えるような巨大な血管腫のほうが小さなものに比べると優位に破裂しやすいと報告されている。今回我々が経験した症例は自覚症状は比較的軽度で凝固異常も認めなかったが、サイズが大きく破裂のリスクが高いと判断して、切除術を施行した。 |
索引用語 | 肝血管腫, 巨大 |