セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-027:タクロリムス内服が奏功し、手術を回避し得た劇症型潰瘍性大腸炎の一例 |
演者 | 細田 佳佐(聖隷浜松病院 消化器内科) |
共同演者 | 海野 修平(聖隷浜松病院 消化器内科), 瀧浪 将貴(聖隷浜松病院 消化器内科), 小林 陽介(聖隷浜松病院 消化器内科), 田村 智(聖隷浜松病院 消化器内科), 木全 政晴(聖隷浜松病院 消化器内科), 芳澤 社(聖隷浜松病院 消化器内科), 舘野 誠(聖隷浜松病院 消化器内科), 室久 剛(聖隷浜松病院 消化器内科), 熊岡 浩子(聖隷浜松病院 消化器内科), 清水 恵理奈(聖隷浜松病院 消化器内科), 長澤 正通(聖隷浜松病院 消化器内科), 佐藤 嘉彦(聖隷浜松病院 消化器内科) |
抄録 | 症例は52歳女性。39歳時に全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断され、5ASA製剤内服にて寛解を維持。2010年7月、1日10行の下痢、血便が出現、大腸内視鏡にて活動期と診断されPSL・30mgの内服を開始するも下痢が改善せず、38℃以上の発熱もみられたため、同8月入院。入院第1病日より絶食、補液およびステロイド強力静注療法(PSL・60mg/日)を開始。CMV-C7HRPも陽性であったため、第6病日よりガンシクロビル500mgも併用するが、下痢、血便は改善せず、第11病日の時点で下痢15行以上、白血球数11000、ペンタゾシンの頻回投与を要する高度な腹痛などの所見より劇症型と診断した。第12病日より白血球除去療法(G-CAP)を併用、第13病日のS状結腸内視鏡ではS状結腸、直腸の発赤が高度で、入院前の内視鏡所見と比べ明らかに増悪。第20病日の時点で下痢は1日30行に達した。現行治療は無効と判断し、外科的治療を検討するも、貧血の進行や高血糖など全身状態も不良でリスクも高いと考えられ、第22病日よりタクロリムス内服を開始。第39病日にはタクロリムス・9mg/日の内服でトラフ値15に達し、この頃には下痢が1日10~15行と減少をみた。ステロイドは漸減中止、第50病日頃には腹痛、血便は消失、下痢は1日数行となり、第56病日には内視鏡的にも寛解を確認。第60病日食事開始、第84病日軽快退院となった。タクロリムスは2009年潰瘍性大腸炎に対し保険収載され、難治性やステロイド抵抗性の病態に対しても有効性が報告されてきた。一方で血中濃度の厳密な管理が必要であり、効果発現までに若干の期間を要する。本例のようにステロイドが無効で、重篤な病態においては時期を逸することなく手術適応を検討することが必要であるが、タクロリムスも内科的治療の有力な選択肢となりうることが示唆された。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, タクロリムス |