セッション情報 シンポジウム2「肝胆膵疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S2-005:

C型慢性肝疾患に対する高度先進医療IL28B遺伝子型測定後の治療選択

演者 平嶋 昇(名古屋医療センター 消化器内科)
共同演者 島田 昌明(名古屋医療センター 消化器内科), 岩瀬 弘明(名古屋医療センター 消化器内科)
抄録 [目的] IL28B遺伝子はC型慢性肝疾患の極めて強い治療予測因子であるが、未だ保険収載されていない。当院は高度先進医療として申請認可後IL28B遺伝子測定を行っている。高度先進医療としてのIL28B遺伝子型測定後の治療選択の実際につき検討した。[対象と方法] 高度先進医療としてIL28B遺伝子型測定を行ったのは19例、男性6例女性13例、平均年齢54(25-77)歳である。全例グループ1、HCV RNAは平均6.4 (4.4-7.3) LogIU/mlであった。文書で説明を行い、同意を取得できた患者さんのみに採血を行い、匿名化してDNAを採取しIL28B遺伝子型測定を行った。検査料として私費で22000円を徴収した。[結果] IL28B遺伝子はメジャーホモが11例、マイナーヘテロが6例、マイナーホモが2例であった。ペグインターフェロン・リバビリン療法(PEGRib)を行うもHCV RNA量が100分の1以下に減少しないためIL28Bを測定したところマイナーのため治療中止したのが4例であった。ベータインターフェロン・リバビリン療法(βRib)を行うもRelapse(Rel)しIL28Bを測定したところメジャーのため治療中止し次世代希望が1例であった。IL28Bメジャーだったためインターフェロン(IFN)を導入したのは6例でテラプレビルを加えた3剤の2例はSVR、PEGRibの1例はSVR、βRibの2例はSVRとRel、IFNα2b単独の1例はRelであった。IL28Bマイナーだが前PEGRibがRelであったため3剤を行った2例はSVRとなった。IL28BマイナーのためIFN少量長期を選択したのが1例、グリチルリチン製材を選択したのが1例であった。IL28Bメジャーだったが次世代治療希望待機が5例であった。[考案] IL28B遺伝子は2剤治療無効時の中止判断材料として有用であり、2剤・3剤治療開始および次世代治療待機の判断材料として有用であった。[結語] IL28B遺伝子型測定を高度先進医療として行っても非常に有用であった。早期の保険収載が待ち望まれる。
索引用語 IL28B遺伝子, C型慢性肝疾患