セッション情報 一般演題

タイトル O-121:

多発バレット腺癌の一例

演者 濱宇津 吉隆(国家公務員共済組合連合会 東海病院)
共同演者 丸田 真也(国家公務員共済組合連合会 東海病院), 北村 雅一(国家公務員共済組合連合会 東海病院), 三宅 忍幸(国家公務員共済組合連合会 東海病院), 加藤 亨(国家公務員共済組合連合会 東海病院)
抄録 患者は60歳前後の男性。2012年12月に感冒症状を契機として食思不振が出現。内服薬で経過観察をしていたが、症状の改善がなく5kgの体重減少を認めたため、精査・加療目的に2013年1月、当科に紹介受診となった。胸腹部単純CTでは、下部食道の不整な壁肥厚と食道周囲及び横隔膜下噴門部周囲のリンパ節の腫大を認めた。また肺や肝臓に結節を多数認めた。上部消化管内視鏡検査では、切歯から28cmにSCJがあり、それより肛門側は全周性に円柱上皮に置き換わったバレット食道となっていた。バレット食道内の切歯から29~32cmの胸部食道の後壁に半周性の粗大結節を伴う隆起性病変を、切歯から31~34cmの胸部食道の前壁に径2cmの扁平な隆起性病変を認めた。また切歯から35~46cmの下部食道に全周性の2型腫瘍を認めた。病理結果は3病変ともAdenocarcinomaであった。以上から多発バレット腺癌の肺・肝・リンパ節転移と診断した。本人・家族に病状説明をしたうえで、TS-1+CDDPによる化学療法を開始した。食思不振の副作用を認めたが特に問題なく経過している。1クール後の上部消化管内視鏡検査で、原発巣は化学療法前と著変なかったが、胸腹部CTでは肺およびリンパ節の転移巣は明らかに縮小していた。現在も化学療法を継続している。本邦で1990年から2010年までの期間において、外科的および内視鏡的に切除された全切除食道癌のなかでバレット腺癌の占める割合は3.7%との報告がある。その中でも多発例の報告は少なく、稀な症例を経験したので報告する。
索引用語 バレット食道癌, 多発食道癌