セッション情報 シンポジウム1「消化管疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S1-010:

大腸腫瘍性病変の深達度診断精度の検討

演者 吉峰 崇(名古屋第二赤十字病院 消化器内科)
共同演者 蟹江 浩(名古屋第二赤十字病院 消化器内科), 折戸 悦朗(名古屋第二赤十字病院 消化器内科)
抄録 【背景目的】当院での大腸癌の治療として、手術療法としては腹腔鏡補助下切除を、内視鏡治療としてはESDを積極的に行っている。また、術前診断として2009年よりNBIならびに拡大内視鏡観察を積極的に導入している。大腸腫瘍性病変の深達度診断精度について明らかにする。【方法】対象は2009年1月から2012年12月までに内視鏡的または外科的切除を行った腺腫と早期大腸癌3456病変の内、拡大観察を施行した1177病変である。治療手技は内視鏡治療1101病変(polypec 217 EMR 788 ESD 91)、外科的治療76病変(腹腔鏡補助下66開腹9)であった。最終病理所見はtubular adenoma 870(内severe dysplasia 193)、pM 203、pSM 107であった。病変発見時での内視鏡で拡大内視鏡を用いている場合はそのまま色素拡大観察、NBI拡大観察を行う。拡大内視鏡を用いていない場合は、後日改めて精密検査を行っている。診断手順としては、通常観察に引き続いて、NBI観察(非拡大・拡大)を行う。インジゴカルミン散布にて肉眼型を診断した後、クリスタルバイオレット染色を行い色素拡大観察を行う。色素拡大観察は工藤・鶴田分類をNBI拡大観察は昭和大学北部病院の分類を使用した。【成績】1)pit patternの診断精度.VN型を呈した23例(92.0%)でSM深部浸潤癌であった。早期癌301病変 においてVN/VI型高度不整がSM深部浸潤癌である感度69.0%、特異度93.0%、正診率88.4%であった。2)NBI拡大観察の診断精度.sparce patternで10/12(83.3%)がSM深部浸潤癌であるのに対し、network/dense patternでは690/702(98.3%)がpMまでの病変であった。【結論】NBIならびに拡大内視鏡を用いた術前精査は、深達度診断の上で有用である。
索引用語 NBI, 拡大内視鏡