セッション情報 一般演題

タイトル O-024:

ニューモシスチス肺炎で死亡したステロイド依存性潰瘍性大腸炎の一例

演者 小平 誠(焼津市立総合病院 消化器科)
共同演者 小串 勝昭(焼津市立総合病院 消化器科), 山形 真碁(焼津市立総合病院 消化器科), 渡邉 幸弘(焼津市立総合病院 消化器科), 寺澤 康之(焼津市立総合病院 消化器科), 佐野 宗孝(焼津市立総合病院 消化器科)
抄録 【症例】75歳、女性【主訴】下痢【既往歴】胃十二指腸潰瘍【現病歴】平成18年3月発症の潰瘍性大腸炎。5-ASA内服、注腸、ベタメタゾン座薬、プレドニゾロン(PSL)内服などで治療されていた。この間アザチオプリンによる肝障害を経験している。炎症のコントロール不良のため平成23年12月22日当院紹介受診。外来にて計5回白血球除去療法を施行。治療翌日は症状が劇的に良くなるが、その後元に戻るという経過を繰り返した。平成24年2月14日からインフリキシマブ240mg点滴を開始。しかしその後下痢腹痛が悪化し2月23日入院となる。【入院中経過】1日10回前後の下痢、時々下血するという状況であった。絶食補液にて様子を見たが,改善なし。2回目のインフリキシマブ点滴やタクロリムス内服も無効であった。3月16日大腸内視鏡では中等度の活動性を示す全大腸炎型潰瘍性大腸炎を認めた。組織培養では病原菌陰性。4月5日からPSL強力静注を開始した。徐々に症状は改善し、4月17日から流動食開始。食上げを行った。その後PSLを漸減。しかし5月10日38.1℃の発熱が出現。胸部X線では明らかな肺炎像を認めず、血中サイトメガロウイルス抗原陽性を確認後、12日からガンシクロビル点滴を開始した。しかし発熱、倦怠感、食思不振は悪化した。5月15日朝酸素飽和度が測定できなくなり、右不全麻痺が出現。頭部CT, MRIでは明らかな脳血管障害を認めず。昼に意識消失出現。胸部X線にて両肺に著明な間質影を認めPneumocystis jiroveciiによる肺炎と診断。ST合剤、MEPM点滴投与を開始し、PSLは50mg/日点滴に増量した。またBipapにて補助呼吸を開始。5月17日朝から呼吸困難が悪化。気管内挿管など行うも6月2日21時53分死亡。【考察】潰瘍性大腸炎治療中にPneumocystis肺炎を合併し、死亡した症例を経験した。合併感染症対策などについて示唆に富む症例と考え報告する。
索引用語 潰瘍性大腸炎, ニューモシスチス