セッション情報 一般演題

タイトル O-028:

白血球除去療法後、急性腎不全を生じた潰瘍性大腸炎の一例

演者 小平 誠(焼津市立総合病院 消化器科)
共同演者 小串 勝昭(焼津市立総合病院 消化器科), 山形 真碁(焼津市立総合病院 消化器科), 渡邉 幸弘(焼津市立総合病院 消化器科), 寺澤 康之(焼津市立総合病院 消化器科), 佐野 宗孝(焼津市立総合病院 消化器科)
抄録 【症例】51歳、男性【主訴】下痢、下血【既往歴】高血圧、脱肛【経過】平成23年検診にて便潜血陽性。同年8月近医にて大腸内視鏡を受け、左半結腸型潰瘍性大腸炎と診断された。当初内服なしでフォローされていたが、平成24年になり下痢、下血が悪化。5-ASA、プレドニゾロンなど処方されるも改善せず。5月当科紹介初診、入院となる。入院時データ:BUN 11.1, Cre 0.91, CRP 4.19, WBC 8960, Hb 14.4。入院後5-ASA, プレドニゾロン強力静注などの治療を行うも緩解せず、サイトメガロウイルス(CMV)抗原血症を認めたためガンシクロビルにより治療したが腸炎は改善しなかった。ステロイド抵抗性潰瘍性大腸炎と判断。7月4日白血球除去療法(LCAP)を施行したところ、ふらつきが悪化し、体外循環による血管内脱水の悪化によると思われる急性腎不全を発症。翌日のデータ:BUN 36.1, Cre 3.18, CRP 8.1, WBC 15580, Hb 10.1。その後中心静脈カテ-テルを留置し、1日2000-3000mlの補液を行うも腎不全から離脱できず、大量補液にて腎機能を回復させた後7月11日結腸全摘術、回腸人工肛門造設術を施行した。直腸摘出は施行しなかった。術後も人工肛門からの排便が多量であり、補液を要したが、徐々に改善。また7月20日にCMVアンチゲネミアの再陽性を確認。ガンシクロビルを再開した。この際眼科受診にてCMV網膜炎が認められた。輸血、アルブミン投与などを行い徐々に腸管からの漏出が減少。補液も減量できた。9月8日退院。【考察】近年潰瘍性大腸炎に対する内科的治療のオプションが増えており、それぞれの治療の適応が検討されている。今回下痢が続く潰瘍性大腸炎に対してLCAPを施行した翌日急激に腎不全が悪化した一例を経験した。患者さんの全身状態を把握した上で治療を選択する必要性を痛感した一例であった。
索引用語 潰瘍性大腸炎, 白血球除去療法