セッション情報 シンポジウム1「消化管疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S1-005:

当院における切除不能進行胃癌に対するTrastuzumab併用化学療法

演者 戸川 昭三(社会保険中京病院 消化器科)
共同演者 金子 望(社会保険中京病院 消化器科), 杉村 直美(社会保険中京病院 消化器科), 堀口 徳之(社会保険中京病院 消化器科), 石原 祐史(社会保険中京病院 消化器科), 飛鳥井 香紀(社会保険中京病院 消化器科), 高口 裕規(社会保険中京病院 消化器科), 井上 裕介(社会保険中京病院 消化器科), 長谷川 泉(社会保険中京病院 消化器科), 榊原 健治(社会保険中京病院 消化器科), 大野 智義(社会保険中京病院 消化器科)
抄録 2011年HER2過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発胃癌に対するTrastuzumabの投与が認可された。当院でもその適応症例において化学療法のひとつとして実施しているが、HER2が過剰発現している症例は20%前後の頻度とも言われており、対象症例が必ずしも多いとは言えない。今回当院でHER2過剰発現が確認された切除不能進行胃癌8例に対してTrastuzumab併用化学療法を行った。症例は2011年1月から2012年12月にかけて当院で化学療法(術後補助療法を除く)を行った68例のうちHER2過剰発現を認めた8例。平均年齢64.3歳(33~79歳)、性別はすべて男性。占拠部位はU領域2例、UM領域2例、M領域3例、ML領域1例。肉眼型は2型1例、3型5例、4型1例、5型1例。組織型は高分化型(tub1,2)6例、低分化型(por,sig)2例であった。診断に要した生検個数は平均4.8個(2~8個)、HER2発現の確認はすべてIHC法で3+であった。併用薬剤はCapecitabine+Cisplatin(XP療法)。平均投与期間205日間(42~401日間)、平均投与回数10.8回(3~19回)であった。効果判定はCR:0例、PR:2例、SD:4例、PD:2例であった。有害事象として、infusion reactionを2例、末梢神経障害1例を認めた。懸念された心障害は出現していない。平均観察期間が300日間(73~538)と短期間ではあるが、XP療法との併用でも安全に施行されている。既に報告されている臨床試験の成績と比較しながら本治療の当院での現況について報告する。
索引用語 胃癌, Trastuzumab