セッション情報 一般演題

タイトル O-140:

各種検査から細胆管細胞癌と診断したが、病理診断は胆管細胞癌であった1例

演者 阿知波 宏一(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学)
共同演者 葛谷 貞二(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 新家 卓郎(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 今井 則博(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 荒川 恭宏(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 山田 恵一(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 中野 聡(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 石津 洋二(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 本多 隆(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 林 和彦(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 石上 雅敏(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学大学院医学系研究科消化器内科学)
抄録 細胆管細胞癌(cholangiolocellular carcinoma:CoCC)は原発性肝癌としては稀な腫瘍であり、その病態は未だ明らかとはされていない。画像としては被膜がなく、内部に出血、壊死を伴わず、腫瘍内貫通血管が認められ、遅延相まで造影効果が遷延することが特徴と報告されているが、肝内胆管癌(ICC)、肝細胞癌(HCC)、血管腫などとの鑑別に困難を要する症例もある。今回我々は各種検査所見からは、CoCCと診断したが、病理的にICCであった1例を経験したので、切除標本、術前画像と比較検討し、文献的考察を加えて報告する。【症例】75歳 女性【現病歴】2012年11月健診の腹部超音波検査にて、肝左葉に5cm大の腫瘤を指摘された。肝腫瘍の精査加療目的で当院紹介され12月入院となった。【入院時検査所見】採血上肝機能異常なく、腫瘍マーカーはAFP, CEA,PIVKA-2,CA19-9のいずれも陰性であった。【画像検査所見】腹部超音波:背景は軽度脂肪肝で、肝左葉外側区域に径5cm大の低エコーSOLあり。造影超音波にて血管相早期では、腫瘍の辺縁部の染影をみとめ血管相後期にかけて、徐々に中心部も不均一に染影した。CT検査:単純CTでは全体に淡い低吸収を呈し、Dynamic CTでは動脈有意相から門脈相にかけて腫瘍辺縁部が造影され、平衡相では不均一に造影された。MRI検査:T1強調画像で低信号、T2強調画像にて辺縁部が淡い高信号、中心部は不均一な高信号を認めた。CTAP/CTHA:CTAPでは腫瘍部の低吸収域が描出された。CTHA早期相では辺縁から内部に強い高吸収を認めたが、中心部の一部は低吸収であった。後期相では辺縁部は高吸収を、中心部はやや等から高吸収を示した。各種画像所見及び腫瘍マーカーがいずれも陰性であったことからCoCCと考えた。鑑別としてICC、混合型肝癌、低分化HCCがあげられた。当院外科にて肝左葉外側区域切除術を施行した。【病理組織学所見】腫瘍は異形細胞が癒合性腺管、小腺管構造を呈しながら増殖、浸潤する像であった。腫瘍中心部に線維性変性が観察された。被膜形成は認めなかった。中分化管状腺癌であり、病理診断はICCであった。
索引用語 CoCC, ICC