セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-116:潰瘍性大腸炎術後に生じた小腸炎の1例 |
演者 | 平山 裕(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学) |
共同演者 | 安藤 貴文(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 石黒 和博(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 前田 修(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 渡辺 修(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 氏原 正樹(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 前田 啓子(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 森瀬 和宏(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 松下 正伸(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 中村 正直(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 宮原 良二(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学 大学院医学系研究科 消化器内科学) |
抄録 | 【背景】潰瘍性大腸炎(UC)は大腸に限局する炎症性腸疾患と定義され、古典的には小腸病変はみられない。しかしながらbackwash ileitis(BWI)や術後回腸嚢炎などの報告も散見される。【症例】40歳代男性【現病歴・経過】2008年4月にUCと診断され、経口ステロイド(PSL)で治療された。2010年1月に症状増悪しPSL増量されるも改善乏しく、顆粒球除去療法を追加。以後増悪→入院を繰り返す。患者の希望もあり、11月に当院へ転院。当院の大腸内視鏡検査(CS)では、S状結腸~上行結腸に中等度炎症および回腸に軽度浮腫・発赤を認めた(病理組織検査でもUCの所見であり、クローン病(CD)、Whipple病、アミロイドーシス等は否定的であった)。食事再開し、GCAP継続の上(合計10回)でPSL減量を行った。しかしながら再度10行/日の下痢、腹痛、発熱を認め、UC増悪疑われ再入院となった。CSでは潰瘍形成なく、粘血便等もないため感染性腸炎が契機となった症状増悪が疑われた。経過中に肺炎・胸膜炎を併発し長期の抗生剤投与が必要となった。内科的治療は困難と考え、また本人希望のため外科的治療の方針となった。3月に腹腔鏡補助下大腸全摘術+IPAA+Ileostomyを施行。術後7日よりStomaからの排液が増加し、1日最大8000mLとなる。CSでは観察内小腸全体に粗ぞう粘膜・細顆粒状粘膜・易出血域・絨毛の脱落・多発アフタ・小潰瘍を認めた(病理ではCDの所見なく、非特異的腸炎の診断)。粘膜保護剤、整腸剤等追加したが改善を認めず。PSL再導入するも改善認めなかった。BWIやUC関連enteritisの可能性を考え、タクロリムス(FK)を追加し、インフリキシマブ等も用いて薬剤調節を行った。10月にPSL 30mgを再度導入。その頃から排液は1000~1500mL/dayとなり、徐々に減少傾向となった。現在はIVHポートを作製し、PSLとFKを併用し外来で経過観察中である。【結語】UC術後に広範な小腸病変を認めた貴重な症例を経験したので報告する。 |
索引用語 | 潰瘍性大腸炎, 小腸炎 |