セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-069:

急性気腫性胆嚢炎に対し保存的治療にて治癒しえた1例

演者 野村 翔子(JA岐阜厚生連 東濃厚性病院 内科)
共同演者 長屋 寿彦(JA岐阜厚生連 東濃厚性病院 内科), 宮本 陽一(JA岐阜厚生連 東濃厚性病院 内科), 荒川 直之(JA岐阜厚生連 東濃厚性病院 内科), 吉田 正樹(JA岐阜厚生連 東濃厚性病院 内科), 藤本 正夫(JA岐阜厚生連 東濃厚性病院 内科), 山瀬 裕彦(JA岐阜厚生連 東濃厚性病院 内科)
抄録 【はじめに】急性気腫性胆嚢炎はガス産生菌を起炎菌とする稀な疾患である。通常の急性胆嚢炎に比べて急速に重症化し、胆嚢の壊死、穿孔を起こす可能性が高いため、早期に胆嚢摘出術を行うことが望ましいとされている。今回、われわれは急性気腫性胆嚢炎に対し、保存的治療にて治癒しえた1例を経験したので報告する。【症例】80歳代女性。脊髄小脳変性症と陳旧性脳梗塞の既往があり、施設に入所中であった。2012年9月下旬より嘔吐、下痢、発熱が出現し、約1週間後に当院内科に受診された。採血にて炎症反応上昇(CRP36.2mg/dl、WBC13,850/μl)と、腹部CTにて胆嚢の腫大と壁肥厚、胆嚢の内腔と壁内にガス像を認め、急性気腫性胆嚢炎と診断し緊急入院とした。当院外科と相談した上、年齢や併存疾患などを考慮し、保存的に治療を行うこととした。入院同日に超音波ガイド下に経皮経肝胆嚢ドレナージ術(PTGBD)を施行し、悪臭を伴う感染性胆汁を採取した。胆汁培養ではClostridium perfringens(ウェルシュ菌)が検出された。その後は絶食、抗菌薬などの保存的加療にて順調に症状と炎症反応は改善を認め、入院9日目より経口摂取を開始した。入院17日目、PTGBD造影では胆嚢内に複数の結石像を認めたが総胆管内に異常はなく、胆汁排泄は良好であったためドレナージチューブを抜去した。その後も経過良好であり、入院28日目に退院とした。本症例では有石胆嚢であったが、温存を希望されたため待機的手術は行わなかった。【結語】本症例は急性気腫性胆嚢炎に対し、早期手術を行わず、保存的治療にて治癒しえた稀な症例と考える。近年、合併症を有し、全身状態が不良で、緊急手術は危険が大きいと判断された場合では、PTGBDで急性期を凌ぎ、全身状態の改善を待って、待機的に手術を行い、良好な経過を得たとの報告例も散見される。症例によっては必ずしも早期手術を要するとは限らず、その重篤度や経過により待機的手術が適応になる場合も存在しうる。若干の文献的考察を加え報告する。
索引用語 急性気腫性胆嚢炎, 保存的治療