セッション情報 一般演題

タイトル O-088:

難治性十二指腸潰瘍の原因として画像上認めれらない膵ガストリノーマを診断した1例

演者 間渕 裕行(市立島田市民病院)
共同演者 尾上 峻也(市立島田市民病院), 石橋 浩平(市立島田市民病院), 高橋 正彦(市立島田市民病院), 金山 広和(市立島田市民病院), 松下 雅広(市立島田市民病院), 森下 宗自(市立島田市民病院), 木村 一史(市立島田市民病院)
抄録 【症例】82歳 男性、【主訴】一過性意識消失、【既往歴】50歳:左腎臓摘出、76歳:大腸癌(右半結腸切除)、76歳:膀胱癌(手術)、【生活歴】飲酒:日本酒1合/日 (~82歳)、喫煙:なし、【現病歴】 近医で難治性の多発十二指腸潰瘍に対して加療されていた。2013年2月上旬頃下痢が出現したが数日で軽快した。 3月上旬に自宅で3分ほどの一過性意識消失を認めたため当院へ救急搬送された。採血で貧血を認めたため精査加療目的で当科へ入院となった。【入院時現症】意識清明、BT35.4℃、BP100/80mmHg、HR103bpm、SpO2 100% 、眼瞼結膜:軽度貧血あり、腹部:平坦、軟、圧痛なし、下肢:浮腫なし、ECG:sinus、脳神経学的所見異常なし【入院後経過】EGDを施行し十二指腸SDAから下行脚にかけて発赤、びらん、潰瘍が多発していた。血中のガストリン値を測定したところ1000 pg/ml以上と高値を認めたためガストリノーマの可能性が考えられた。造影CT、MRIを施行し膵体部に8mmの早期濃染する結節を認め膵内分泌腫瘍が疑われた。確定診断のため3/22SACIテストを施行。DPAで造影したところCT、MRIで指摘された結節は早期濃染された。GDAではガストリン値が負荷前647pg/mlから 負荷30秒後2474pg/mlとなったためGDAのガストリン値の有意な上昇と判断し画像的には腫瘍を捉えられないが、膵頭部周囲にかけて微小なガストリノーマが存在することが疑われた。明らかな肝転移は認められなかった。MEN1型を除外するため頭部MRI、副甲状腺機能を調べたが有意な所見は得られなかった。以上からDPAからはMRIで指摘された早期濃染された膵体部の結節は非機能性であり膵頭部、胃幽門、十二指腸second portionでは画像で指摘できない微小なガストリノーマが存在していると考えられた。【結語】ガストリノーマは悪性であることが多いため本症例は遠隔転移を来しておらず手術を検討したが、本症例は高齢であり腹部手術歴があり患者の希望も含めて経過観察の方針とした。十二指腸潰瘍の原因として画像では指摘できない膵ガストリノーマの関与が示唆された1例を経験した。
索引用語 ガストリノーマ, 十二指腸潰瘍