セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-048:

早期胃癌直下にアニサキスによる肉芽腫を認めた1例

演者 大城 昌史(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科)
共同演者 柴田 知行(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 大宮 直木(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 長坂 光夫(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 中川 義仁(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 田原 智満(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 石塚 隆充(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 鎌野 俊彰(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 丸山 尚子(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 大久保 正明(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 小村 成臣(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 宮田 雅弘(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 市川 裕一朗(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 角 一弥(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 生野 浩和(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 城代 康貴(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 大森 崇史(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 河村 知彦(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 中井 遥(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 吉田 大(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大学 医学部 消化管内科)
抄録 【目的】今回我々は粘膜下腫瘍様病変の頂部に0-2c型早期胃癌を認め、病理組織所見で胃癌直下にアニサキスによる肉芽腫を認めた症例を経験したので報告する。【症例】40歳代の男性。健康診断の上部消化管内視鏡で潰瘍性病変を指摘され生検でGroup 4もしくは5と診断されたため精査・加療目的で受診した。既往歴として20歳代に胃潰瘍を起こして以来数回胃潰瘍の診断で内服加療を受けていた。当院での上部消化管内視鏡では体中部後壁に粘膜下腫瘍様病変と、その頂部に浅い陥凹性病変を認めた。陥凹性病変に対する拡大内視鏡で病変内部にirregular MV pattern、irregular MS pattern、demarcation lineを認め早期胃癌の診断であった。超音波内視鏡ではSM浸潤が疑われた。治療は腹腔鏡下幽門側胃切除術、D2リンパ節郭清を施行した。切除標本の病理組織学的検査では粘膜内にとどまる早期胃癌(高分化型腺癌)と、その粘膜下層にはリンパ濾胞に取り囲まれた、異物を含む肉芽腫形成を認めた。異物はアニサキスの虫体であった。胃癌と胃アニサキス症が合併した症例の報告例は、検索しえた範囲内では23例と極めて少ない。通常の胃アニサキス症は48時間以内に腹痛や悪心、嘔吐といった症状がみられる。しかし本症例ではアニサキスが胃壁に刺入後慢性の経過をたどり異物反応により肉芽腫を形成、粘膜下腫瘍様の形態を呈したものと考えられた。胃癌発生と肉芽腫による粘膜下腫瘍形成の前後関係については、いくつか意見があり、また症例数も非常に少ないことからも、一定の見解は得られていない。他疾患との鑑別には臨床経過および超音波内視鏡が有用であると考えられる。【結語】早期胃癌病変の粘膜下層にアニサキスによる肉芽腫を認めた1例を経験した。他疾患との鑑別には、特に臨床経過および超音波内視鏡が有用である。
索引用語 早期胃癌, アニサキス