セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-084:

末梢膵管から発生したと思われる膵癌の一例

演者 古根 聡(公立陶生病院)
共同演者 森田 敬一(公立陶生病院), 黒岩 正憲(公立陶生病院), 林 隆男(公立陶生病院), 清水 裕子(公立陶生病院), 松浦 哲生(公立陶生病院), 竹中 宏之(公立陶生病院), 鈴木 静乃(公立陶生病院), 石川 恵里(公立陶生病院), 鳥山 和浩(公立陶生病院), 吉崎 道代(公立陶生病院)
抄録 症例は50歳女性、主訴は嘔吐。既往歴・内服薬は特になく、身長161.4cm、体重50.6kgと痩せ形であった。現病歴は、約1ヶ月間前より2日に1度嘔吐してしまうようになり、原因精査のため2012年3月15日近医より紹介を受けた。血液生化学的検査ではAlb 3.4g/dlと低栄養を認めたほかは特記すべき異常所見を認めず、腫瘍マーカーはCEA 1.2ng/ml、CA19-9 16.9U/mlと正常であった。来院時の腹部単純CTでは胃から十二指腸下行脚にかけての著明な拡張を認めたため、SMA症候群様の病態を疑い入院とした。造影CTにて、膵鉤部の辺縁より十二指腸水平脚に浸潤する造影効果に乏しい2cm大の腫瘍性病変が疑われた。上部内視鏡検査では、胃でたわんでしまい同部の観察は困難であったため下部消化管用内視鏡であるPCF260を用いて同部を観察した。狭窄部は固く、ファイバーの通過は困難であった。狭窄部に褪色調のびらんを認めたが腸管外よりの浸潤が疑われる像であった。同部より生検をしたが悪性組織は検出されなかった。PET CTでは有意な集積は認められなかった。以上の所見より、十二指腸癌やその他の良性疾患などによる狭窄よりも、膵臓辺縁より発生した膵癌が第一に考えられた。2012年4月23日、幽門温存膵頭十二指腸切除術を施行した。膵鉤部から広範な神経浸潤を伴う腫瘍が認められた。組織型は高分化型腺癌で膵臓の辺縁から発症し、膵実質内への進展は少なく、十二指腸漿膜側から十二指腸壁内に進展していた。当初十二指腸癌との鑑別が問題となったが、十二指腸粘膜面には癌は認められず、膵辺縁より発生した膵癌と診断した。術後補助化学療法としてGEM療法を計6コース施行したが、2013/1/24に両側卵巣の嚢胞性腫瘍を認め、また急速に増大・圧排症状を来したため両付属器切除術を施行、膵癌の転移再発と診断された。膵辺縁より発生したと考えられる膵癌の一例を経験したので、報告する。
索引用語 膵臓癌, 膵野型膵癌