セッション情報 シンポジウム1「消化管疾患の診断と治療の最前線」

タイトル S1-015:

当科における内視鏡的に診断した原発性小腸癌についての検討

演者 高田 淳(岐阜大学 医学部 消化器病態学)
共同演者 中西 孝之(岐阜大学 医学部 消化器病態学), 久保田 全哉(岐阜大学 医学部 消化器病態学), 井深 貴士(岐阜大学 医学部 消化器病態学), 白木 亮(岐阜大学 医学部 消化器病態学), 清水 雅仁(岐阜大学 医学部 消化器病態学), 荒木 寛司(岐阜大学 医学部 消化器病態学), 森脇 久隆(岐阜大学 医学部 消化器病態学)
抄録 【目的】当科において内視鏡的に診断した原発性小腸癌について検討した.【対象および結果】2004年5月から2013年3月までの8年11か月間に当院で内視鏡的に診断した原発性小腸癌は7例であった.性別は男性3例,女性4例で,年齢は46歳から92歳で平均62歳,発見時自覚症状を認めたのは3例で,黒色便2例,腹痛1例,嘔気・嘔吐3例,無症状の4例はOGIB3例,肝腫瘍1例であった.診断はすべてダブルバルーン小腸内視鏡(DBE)でなされ,うち1例は先行して施行されたカプセル内視鏡(CE)で小腸腫瘍の存在が確認されていた.部位は空腸6例,回腸1例で,空腸はすべてTreitz靭帯から60cm以内,回腸の症例は回腸末端であった.腫瘍の肉眼型は2型3例,3型4例,組織型は6例が高~中分化型,1例が未分化型であった.初診時Hb量は6.6g/dlから13.1g/dlで平均9.2g/dl,7例中5例が10g/dl未満の貧血を呈していた.腫瘍マーカーはCEA 1.0~20.6ng/ml,CA19-9 2.0~84.6U/mlで,7例中5例はCEA・CA19-9ともに正常範囲であった.CTで指摘し得たのは7例中6例で,所見として,4例で病変部小腸壁の肥厚が認められ,2例は口側腸管の拡張のみ認められた.治療は6例で手術がなされ,うち3例は術後補助化学療法が行われた.腫瘍の深達度はMP1例,SE5例で,3例にリンパ節転移が認められ,3例に遠隔転移(肝転移,卵巣転移)または腹膜播種が認められた.術後経過は2例が癌死(術後11カ月,27カ月),3例が無再発生存(術後3カ月,18カ月,75カ月),1例は他病死であった.【考察】診断時無症状の症例が半数を超える4例で,これはDBEやCEの認知や普及が進んだことにより,術前診断可能となったと考えられる.CTおよびDBEやCEにより,早期診断やイレウスなどによる緊急手術の回避,予後の改善が期待される.
索引用語 小腸癌, 小腸内視鏡