セッション情報 一般演題

タイトル O-103:

肝細胞癌の転移性小腸腫瘍による腸重積の1例

演者 阪田 麻裕(浜松医科大学 外科学第二講座)
共同演者 石松 久人(浜松医科大学 外科学第二講座), 間 浩之(浜松医科大学 外科学第二講座), 原 竜平(浜松医科大学 外科学第二講座), 原田 岳(浜松医科大学 外科学第二講座), 中村 光一(浜松医科大学 外科学第二講座), 倉地 清隆(浜松医科大学 外科学第二講座), 今野 弘之(浜松医科大学 外科学第二講座)
抄録 転移性小腸腫瘍は比較的稀な疾患であり,出血や穿孔,イレウス,腸重積に伴う症状で発見されることが多く,加えて他臓器転移を合併することが多く予後不良とされている.今回われわれは,肝細胞癌(以下HCCと略記)の転移性小腸腫瘍による腸重積の1例を経験した.症例は70歳代の男性.1991年より慢性C型肝炎で通院中であった.2006年にHCCに対して肝拡大左葉切除術,胆嚢摘出術,門脈環状切除・再建術を施行,2011年に転移性肺腫瘍に対して胸腔鏡下左肺上葉部分切除術を施行,術後も外来で経過観察中であった.2012年11月に嘔吐,腹部膨満感,食欲不振で当院肝臓内科を受診した.イレウス管挿入で腹部症状は改善したが,精査で小腸腫瘍による腸重積と診断,手術目的で当科紹介,小腸部分切除術を施行した.病理組織学検査でHCCの転移性小腸腫瘍と診断された.また,入院時のCTで肝内に多発する腫瘍を認め,生検でHCCと診断された.術後経過は良好で,術後10日目にHCCに対する治療目的で肝臓内科に転科となった.悪性腫瘍の消化管への転移は,1988年から2000年までの13年間の日本病理剖検輯報での集計結果では26.3%に認められたと報告されている.そのうち,小腸への転移率は8.5%で,原発臓器としては胃,膵臓,大腸などの腹腔内臓器の割合が63.8%と高く,次に肺,気管支などの胸腔内臓器が18.1%であり,メラノーマなどの上皮性腫瘍からの小腸転移の報告もある.また,全国原発性肝癌追跡調査報告(2002~2003年)によると,HCCの肝外再発部位は肺,骨,リンパ節に多く,消化管転移については詳細不明である.1983年から2013年4月までの医学中央雑誌検索上,HCCの転移性小腸腫瘍例は自験例を含めて7例であった.HCCの転移性小腸腫瘍について文献的考察を加え報告する.
索引用語 転移性小腸腫瘍, 肝細胞癌