セッション情報 | 一般演題(専修医(卒後3-5年)) |
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タイトル | O-152:伝染性単核球症様の症状が先行したアセトアミノフェンによる重症型薬物性肝障害の一例 |
演者 | 青木 聡典(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科) |
共同演者 | 吉岡 直輝(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 柴田 寛幸(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 武藤 久哲(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 廣崎 拓也(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 石川 大介(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 國井 伸(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 渡辺 一正(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科), 奥村 明彦(JA愛知厚生連 海南病院 消化器内科) |
抄録 | 伝染性単核球症様の症状が先行し、アセトアミノフェンによる重症型のアレルギー性肝障害を合併したと考えられる一例を経験したため報告する。症例は20歳男性。平成24年9月初旬に近医にて潰瘍性大腸炎と診断され、メサラジン注腸とサラゾスルファピリジン内服を行っていた。10月初旬に、発熱、咳、咽頭痛と上下肢の皮疹を認め、血液検査にて異型リンパ球の出現と肝胆道系酵素値の上昇を認めたため、当院へ紹介入院となった。入院時、両側の頸部リンパ節腫大と体幹および四肢に小発赤疹を認め、CTにては肝脾腫を認めた。臨床的に伝染性単核球症と判断し、経過観察とした。第3病日には解熱して肝胆道系酵素値も改善を認めたが、第6病日に40℃の発熱が出現した。このため、アセトアミノフェンを投与したところ、肝胆道系酵素値の急激な再上昇を認めた。原因としてウイルス性肝障害の急性増悪と薬物性肝障害を疑い、各種ウイルス抗体検査と同時にアセトアミノフェンとサラゾスルファピリジンに対してDLSTを施行した。トランスアミナーゼの急激な上昇に伴いPT活性が40%台へと低下し、劇症化が懸念されたため、第7病日よりステロイドパルス療法を施行した。その後は徐々に解熱し、肝機能も急速に改善した。各種ウイルス抗体価は、麻疹ウイルスIgMが疑陽性であった以外はいずれも未感染もしくは既往感染を示すものであった。その後も麻疹ウイルスIgM抗体価の上昇は認めなかったが、IgG抗体価は33.4(第7病日)から45.9(第41病日)と軽度の上昇を認めた。また、DLSTの結果についてはアセトアミノフェンが陽性であった。本症例においては、既往として平成5年の頃に麻疹に感染しており、平成21年にはMRワクチンを接種していたことが判明した。今回の麻疹ウイルス抗体の結果から、修飾麻疹の可能性は否定できないと考える。また、アセトアミノフェンに対するDLSTが陽性であったことから、アセトアミノフェンによる薬物性肝障害が惹起された可能性が高いと考えられた。 |
索引用語 | 薬物性肝障害, アセトアミノフェン |