セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-016:

胃癌のSchnizler転移により直腸狭窄をきたした1例

演者 吉田 大(藤田保健衛生大学 消化管内科)
共同演者 小村 成臣(藤田保健衛生大学 消化管内科), 平田 一郎(藤田保健衛生大学 消化管内科), 柴田 知行(藤田保健衛生大学 消化管内科), 大宮 直木(藤田保健衛生大学 消化管内科), 長坂 光夫(藤田保健衛生大学 消化管内科), 中川 義仁(藤田保健衛生大学 消化管内科), 鎌野 俊彰(藤田保健衛生大学 消化管内科), 丸山 尚子(藤田保健衛生大学 消化管内科), 生野 浩和(藤田保健衛生大学 消化管内科), 大森 崇史(藤田保健衛生大学 消化管内科), 中井 遥(藤田保健衛生大学 消化管内科), 大城 昌史(藤田保健衛生大学 消化管内科)
抄録 症例は64歳男性。主訴は便通異常。2007年に胃体部癌手術 (por,Type4,T3(SE)N1M0,cStage3A)の既往がある。2012年11月中旬頃から排便排ガスなく、腹部膨満が出現。3日後に当院時間外外来受診し、腹部レントゲン写真や腹部CTにて直腸Rsでガスの途絶を認め精査加療目的に入院となった。入院時血液生化学検査でCEA5.1ng/ml、CA19-9 55.4U/mlと腫瘍マーカーの上昇を認めた。入院時に下部消化管内視鏡検査を施行したところAV12~18cmの直腸Rsに全周性の浮腫状粘膜と狭窄を認めた。明らかな上皮性変化は認めず、内視鏡の通過は容易であった。浮腫状粘膜と狭窄部の大腸粘膜から生検を施行するも軽度の炎症細胞浸潤のみで悪性像は認めなかった。ガス抜きを施行したが、その後も排便排ガスはなく腹部膨満は改善されなかった。ガストログラフィンによる注腸検査を施行したところ直腸Rsの狭窄部よりも口側に造影剤は流れなかったためコロレクタルチューブを挿入した。挿入後腹部膨満は改善したためコロレクタルチューブ抜去を試みるも狭窄は改善ないため再度挿入した。狭窄部位から合計3回生検するも全て軽度の炎症細胞浸潤の結果であった。悪性疾患や癌転移の可能性も考え造影CT検査や骨盤部MRI、PET-CTを施行するも、いれも炎症性変化を疑う結果であった。入院1か月経過したが狭窄は改善しないため診断的治療目的に第38病日目に外科へ転科となった。第41病日目に開腹手術を施行したところ、直腸RS~Rbにかけて粘膜下腫瘍様の形態をした硬い腫瘤を認めた。腫瘤自体は周囲との連続性がなく、腹水は漿液性で少量認めた。直腸~S状結腸漿膜面の結節より生検を行い、S状結腸で人工肛門を造設した。結節からの病理結果は結合性に乏しい印環細胞様細胞が観察され、免疫染色にてcytokeratin AE1/AE3、cytokeratin CAM5.2が陽性であり、低分化腺癌、印環細胞癌の播種と診断した。腹水細胞診は陰性であった。各種検査から総合的に判断し、胃癌のSchnizler転移と診断した。
索引用語 Schnizler転移, 直腸狭窄