セッション情報 一般演題

タイトル O-050:

当院における胃瘻造設症例の現状

演者 村山 睦(トヨタ記念病院 消化器科)
共同演者 鈴木 貴久(トヨタ記念病院 消化器科), 篠田 昌孝(トヨタ記念病院 消化器科), 高士 ひとみ(トヨタ記念病院 消化器科), 森島 賢治(トヨタ記念病院 消化器科), 宇佐美 彰久(トヨタ記念病院 消化器科), 曽田 智大(トヨタ記念病院 消化器科), 山田 健太朗(トヨタ記念病院 消化器科)
抄録 【目的】胃瘻の適応は、一般的には、必要な栄養を自発的に摂取できず、正常の消化管機能を有し、4週間以上の生命予後が見込まれる成人および小児がその適応とされるが、近年、終末期の認知症や老衰の人にも積極的に胃瘻がつくられるようになり、その是非が問われている。急性期医療機関である当院の胃瘻造設症例の現状について検討した。【方法】対象は2008年1月から2012年8月までに当院で胃瘻を造設した158例(男性97例、女性61例)について検討した。【結果】年齢は19歳~96歳(平均年齢74.2歳)であり、70歳未満症例には小児麻痺などの若年者が含まれる一方、80歳以上が約40%を占めていた。年間の造設件数は35件前後で変化なかったが、男女比では男性に増加傾向があった。基礎疾患としては嚥下性肺炎が60例(37.9%)と最多であり、次いで脳血管障害34例(21.5%)、神経変性疾患 23例(14.5%)であった。胃瘻造設に伴う合併症は瘻孔周囲炎、肺炎、下痢・嘔吐など消化器症状が多くみられたが、造設前に口腔ケア回診を行うことで、創部感染や瘻孔周囲炎、肺炎の合併が減少する傾向にあった。胃瘻造設後に転院した症例は70例(44.3%)であり、施設退院37例(23.4%)、自宅退院40例(25.3%)、死亡退院11例(6.9%)(死因は肺炎4例、癌死3例、敗血症1例、腎不全1例、腸管壊死1例、原因不明の突然死1例)であった。退院症例のうち、造設後6ヵ月以上生存症例72例、6ヵ月未満死亡症例27例、退院後の経過不明は58例であった。【結語】超高齢化社会になる中で、当院のような急性期医療機関は、予後を見極め、胃瘻造設において患者本人の尊厳を損なったり苦痛を増強させる可能性がないかどうか、慎重に検討する必要があると思われた。
索引用語 胃瘻, PEG