セッション情報 一般演題

タイトル O-151:

肝結核の1例

演者 松浦 倫三郎(刈谷豊田総合病院 内科)
共同演者 仲島 さより(刈谷豊田総合病院 内科), 井本 正巳(刈谷豊田総合病院 内科), 濱島 英司(刈谷豊田総合病院 内科), 中江 康之(刈谷豊田総合病院 内科), 坂巻 慶一(刈谷豊田総合病院 内科), 小林 健一(刈谷豊田総合病院 内科), 澤田 つな騎(刈谷豊田総合病院 内科), 内田 元太(刈谷豊田総合病院 内科), 室井 航一(刈谷豊田総合病院 内科), 鈴木 敏行(刈谷豊田総合病院 内科), 伊藤 誠(刈谷豊田総合病院 病理科)
抄録 症例は70才男性.主訴は発熱.既往歴は20才時に虫垂炎手術.低血圧.飲酒歴は無し.
平成21年11月9日,転倒を契機に頚椎症を発症し,当院整形にてNSAIDs等の他,急性期の4日間のみステロイド点滴を施行した.12月24日より発熱,下痢が出現し,処方にて徐々に下痢は軽快した.しかし微熱が遷延するため平成22年1月4日に近医受診,AST 635U/ml, ALT 696U/lと肝障害を認め,翌日当科紹介入院となった.
血液検査ではWBC 10700/μl, 好酸球数 4173/μl, ZTT 18.8U, T-B 3.5mg/dl, D-B 2.7mg/dl, AST 626U/l, ALT 635U/l, LDH 563U/l, ALP1101U/l, CRP 5.11mg/dl, PT 58%と,炎症反応と肝胆道系酵素の上昇,凝固能低下を認めた.HBsAg, HCVAb, IgM-HA, HEV-RNAは陰性, IgG 1904mg/dlと軽度の上昇を認めたが, ANA, AMAは 陰性であった.USでは肝表面は整,辺縁はやや鈍で内部エコーは粗で,エコー輝度は上昇していた.胆嚢の壁肥厚,胸水,腹水貯留を認めた.CTでは肝は軽度腫大しており,内部の吸収値にはむらがあり,胸腹水を認めた.肺野に異常を認めなかった.肝障害は保存的に改善したが好酸球高値は遷延した.処方歴と好酸球の上昇から薬剤性肝障害を疑い,また, IgGとZTT高値からAIHも否定しきれず,肝生検を施行した後,1月16日に退院となった.病理組織では門脈域,小葉内に炎症細胞浸潤の他に肉芽腫性病変,多核巨細胞の浸潤を認めた.
以上より,肉芽腫性肝炎と診断,PBC,結核,寄生虫,真菌などの感染症も疑い追加精査を施行した.AIH,寄生虫,真菌感染は否定的で,クォンティフェロンが判定保留であり,BFも施行したがガフキー陰性で経過観察となった.4/5にクォンティフェロンが陽性化し,胸部CTにて肺尖部に7mmの結節を認め,さらに7月のCTでは肺結節影の増悪を認めたため,肺結核を疑い,半年間の結核治療を施行した.治療終了後、肺病変は改善し、肝生検では,肉芽腫性病変を認めなかった.
肝結核は非常にまれな疾患である.本症例は初発時に肺病変を認めず,またクォンティフェロン,ツ反も陰性であり,診断に至るまでに時間を要したが,その後の治療経過は良好であった.
索引用語 肝, 結核