セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-139:

sorafenib減量により増悪し、再増量にて抗腫瘍効果の再増強を認めた肝細胞癌の1例

演者 芳川 昌功(豊橋市民病院)
共同演者 内藤 岳人(豊橋市民病院), 浦野 文博(豊橋市民病院), 藤田 基和(豊橋市民病院), 山田 雅弘(豊橋市民病院), 山本 英子(豊橋市民病院), 松原 浩(豊橋市民病院), 竹山 友章(豊橋市民病院), 田中 卓(豊橋市民病院), 田中 浩敬(豊橋市民病院), 鈴木 博貴(豊橋市民病院), 廣瀬 崇(豊橋市民病院), 岡村 正造(豊橋市民病院)
抄録 【はじめに】今回,多発肝細胞癌に対してsorafenibを導入し,減量にて抗腫瘍効果が減弱したが,再増量にて抗腫瘍効果が再増強した1例を経験したので報告する.【症例・経過】65歳,男性.63歳時の検診超音波検査でS6の50mm大の肝腫瘍を指摘され,当院へ紹介受診.各種画像診断で肝細胞癌(HCC)の診断に至り,経カテーテル的肝動脈化学塞栓療法(TACE)を行ったのちにS6の肝部分切除を追加した(手術所見はModerately differentiated hepatocellular carcinoma,necrotic(T2)egfc(+)fc-inf(-)sf(-)s0 vp0 vv0 va0 b0 SM(-) 1mm NL f0).しかし手術後半年で残肝に最大径16mmの多発再発を認め,TACE1回とシスプラチン(CDDP)の肝動注療法を2回施行した.TACE・動注療法の効果判定はPDであり,多発肝細胞癌として,sorafenib 800mg/dayの投与を開始した.投与開始約1週後のdynamicCTで多くの腫瘍結節で動脈早期濃染像の消失を認め,腫瘍の著明な血流低下ならびに腫瘍壊死が示唆された.投与開始3週後に血小板減少を伴う発熱・CRP上昇を認め,Grade1の有害事象として一時休薬し,2週間の休薬後400mg/dayと一段階減量して再開した.再開2週・6週後のdynamicCTでは腫瘍の早期濃染像が再度明瞭化した.減量開始6週後に再度800mg/dayに増量したところ,再増量2週後のdynamicCTにて一部の腫瘍結節で動脈早期濃染像の消失を認め,再度腫瘍の内部壊死が示唆された.【考察】sorafenibは局所治療が困難な肝細胞癌に対して使用される分子標的治療薬であり,進行性肝細胞癌に対する生存期間の延長効果が確立されている.多くは800mg/dayから開始し,副作用など生じた際に減量していくが,高齢例などでは最初から一段階減量して投与が開始されることもある.本症例ではsorafenib減量に伴い抗腫瘍効果が減弱し,再増量に伴い再度抗腫瘍効果の増強を確認できた.sorafenibの再増量に関する報告は少なく,今後のsorafenibの使用法に関して示唆に富む症例であったので報告する.
索引用語 肝細胞癌, sorafenib