セッション情報 一般演題

タイトル O-104:

小腸GISTを合併したCowden病の1例

演者 名倉 明日香(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部)
共同演者 中村 正直(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 山村 健史(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 山田 弘志(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 吉村 透(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 中野 有泰(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 大林 友彦(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 舩坂 好平(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 大野 栄三郎(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 宮原 良二(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 川嶋 啓揮(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 伊藤 彰浩(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 廣岡 芳樹(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部), 前田 修(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 渡辺 修(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 安藤 貴文(名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学), 後藤 秀実(名古屋大学医学部附属病院 光学医療診療部DELIMITER名古屋大学大学院 医学系研究科 消化器内科学)
抄録 Cowden病は全身臓器に過誤腫や過形成性病変が生じる疾患であり、皮膚・口腔病変と消化管ポリポーシスを特徴とする常染色体優性遺伝疾患である。甲状腺や乳腺などの臓器に悪性腫瘍を合併するリスクが高く腫瘍サーベイランスが必要な疾患である。今回我々はCowden病に小腸GISTを合併した一例を経験したので報告する。【症例】40歳代、女性。既存症は気管支喘息。2010年頃から鉄欠乏性貧血を認め近医に通院していた。今回甲状腺腫を指摘され、当院を受診した。PET-CTを施行したところ、小腸にFDGの高集積を認め精査目的で当科紹介となった。身体所見としては、鼻梁部、右上腕、右手背、右下腿に小指頭大の丘疹を認め、病理組織検査で硬化性線維腫と診断された。その他に歯肉の乳頭腫性丘疹、甲状腺腫大を認め、甲状腺は病理組織検査にて腺腫様甲状腺腫と診断された。上部消化管内視鏡検査では食道に多発するGlycogenic acanthosisを認め、胃体下部大弯から穹窿部及び十二指腸球部から下行脚にかけて数mm大のポリープが多発していた。生検結果はすべて過形成性ポリープであった。以上の所見からCowden病と診断された。小腸精査目的で小腸ダブルバルーン内視鏡検査を行ったところ、上部空腸に大きさ約50mmの頂部に浅い潰瘍を伴う弾性硬の粘膜下腫瘍を認めた。生検結果は軽度の炎症細胞浸潤のみであった。しかし貧血の責任病変と考えられたため、診断的治療目的で小腸部分切除術が施行された。腫瘍は充実性であり、病理組織検査では淡好酸性~淡明な胞体を持つ紡錘形細胞が束状になって錯綜し、免疫染色にてc-kit, CD34とα-SMAが陽性, S-100は陰性でKi-67は1%未満であり、Gastrointestinal stromal tumor (GIST)と診断された。【考察】検索した限りではCowden病に小腸GISTが合併した症例報告は無く、非常に稀な症例と思われた。PTEN遺伝子の変異が原因と言われているが、本邦では孤発例の報告が多く、本症例も家族歴はなかった。悪性腫瘍の合併率は約30%と言われており厳重なフォローアップが予後を左右すると考えられるため、現在も慎重に経過観察を行っている。
索引用語 消化管ポリポーシス, 小腸腫瘍