セッション情報 一般演題

タイトル O-143:

比較的短期間で増大傾向を示し、肝切除を行った肝血管腫の一例

演者 森川 友裕(磐田市立総合病院 消化器内科)
共同演者 笹田 雄三(磐田市立総合病院 消化器内科), 高取 真吾(磐田市立総合病院 消化器内科), 伊藤 潤(磐田市立総合病院 消化器内科), 西垣 信宏(磐田市立総合病院 消化器内科), 辻 敦(磐田市立総合病院 消化器内科), 高橋 百合美(磐田市立総合病院 消化器内科), 齊田 康彦(磐田市立総合病院 消化器内科), 犬飼 政美(磐田市立総合病院 消化器内科), 福本 和彦(磐田市立総合病院 消化器外科), 落合 秀人(磐田市立総合病院 消化器外科), 鈴木 昌八(磐田市立総合病院 消化器外科)
抄録 【はじめに】肝血管腫は一般的には大きさは不変であり、急速に増大することはまれである。今回我々は比較的短期間で増大傾向を示し、肝切除を行った肝血管腫の一例を経験したので報告する。【症例】63歳女性。慢性C型肝炎に対し、2009年6月よりPEG‐REV療法72週を施行したがSVRは得られなかった。また数年前より他院検査にて肝右葉に径1cm大の肝腫瘤を指摘されていた。2010年の腹部超音波検査では径2cmの比較的均一な高エコー腫瘤であった。造影CT検査では早期相で全体が濃染し、平衡相で染まりが遷延し、均一の染まりを呈していた。MRI検査では内部ほぼ均一なT1WI低信号、T2WI著明な高信号を示した。これらの所見より肝血管腫と診断し、C型肝炎での経過観察と合わせ、定期的な画像評価を行っていた。2010年20mm大であったが、その後徐々に増大傾向を示し、2012年には45mm大になった。2012年の造影CT検査では早期相で辺縁優位に染まり、平衡相で中心部に染まりの乏しい領域が残っているが染まりは中心部に広がっている所見であった。肝血管腫として問題ないと判断したが、比較的短期間で増大傾向を認めたことより、今後のさらなる増大が懸念されるため手術適応と判断し、2012年12月肝後区域部分切除術を施行した。病理学的所見は肉眼的には暗赤色を呈する境界明瞭な40×25mm大の腫瘍であり、組織学的には異型のない内皮細胞に囲まれた血管腔で形成され、周囲には線維性間質がみられた。海綿状血管腫と毛細血管性血管腫の両方を併せ持った混合型肝血管腫であった。【考察】CT・MRIの造影検査において早期相から全体に均一に染まり、平衡相においても染まりが残存している所見は肝毛細血管性血管腫の典型的な所見とされている。肝血管腫と同様の画像所見を呈しうるHCCやCCCなどの報告例も散見されることや、頻度は低いものの今回の症例のように増大傾向を示す肝血管腫もあり、肝血管腫と診断しても定期的な経過観察が望ましいと考えられた。
索引用語 海綿状血管腫, 毛細血管性血管腫