セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-001:

当院における悪性大腸狭窄に対するステント留置の検討

演者 片岡 邦夫(豊橋市民病院 消化器内科)
共同演者 山田 雅弘(豊橋市民病院 消化器内科), 浦野 文博(豊橋市民病院 消化器内科), 藤田 基和(豊橋市民病院 消化器内科), 内藤 岳人(豊橋市民病院 消化器内科), 山本 英子(豊橋市民病院 消化器内科), 松原 浩(豊橋市民病院 消化器内科), 竹山 友章(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 浩敬(豊橋市民病院 消化器内科), 田中 卓(豊橋市民病院 消化器内科), 廣瀬 崇(豊橋市民病院 消化器内科), 芳川 昌功(豊橋市民病院 消化器内科), 鈴木 博貴(豊橋市民病院 消化器内科), 岡村 正造(豊橋市民病院 消化器内科)
抄録 【目的】海外では1991年以降悪性大腸狭窄に対する治療法として大腸ステントが積極的に使用されている。本邦においても2012年1月に悪性大腸狭窄に対する内視鏡的大腸ステント留置術が保険収載されたため、術前の腸管減圧や緩和治療を目的とした症例が増加していくことが予想される。今回当院での経験を通して大腸ステントの有用性と問題点を検討したので報告する。【対象と方法】2009年4月から2013年3月までに、当院で内視鏡的大腸ステント留置術が行われた6例について患者背景と臨床経過を検討した。【結果】症例は69~98歳と高齢者に多く、病変は直腸3例、S状結腸2例、脾弯曲部1例だった。4例が症状緩和目的の留置で、2例が根治術を前提とした術前留置だった。当院では根治可能と判断される左側大腸癌イレウスに対しては、一期的手術、あるいはHartmann手術を行う二期的手術を第一選択としているが、術前留置の2例は抗血小板薬内服中で緊急手術が高リスクだったため本治療法が選択された。全症例とも留置後まもなく経口摂取可能となった。術前留置の2例は、口側を評価した上で留置後17日と11日に一期的結腸切除術となった。緩和目的の4例は、留置後15日で転院、留置後43日で死亡、留置後7ヵ月現在外来通院中、口側病変を評価した上で留置後14日に人工肛門造設となった。完全なイレウス解除に至らずイレウス管を要した症例が1例あった。腹痛や下血、ingrowthを来した症例もあるが臨床上大きな問題とはならなかった。【考察】大腸ステントの有用性は、狭窄の解除により緊急手術を回避することができ全身状態の回復を図り待期的手術が行えること、口側の情報が得られること、人工肛門造設による患者のQOL低下を回避できることが挙げられる。特に患者が併存症や抗血栓薬内服のため緊急手術が高リスクとなる場合、本治療法は術前の狭窄解除の有力な選択肢の1つと考えられる。問題点はイレウス解除が不十分な場合もあり得ることである。穿孔のリスクが高いとの報告もあるが当院ではみられなかった。【結語】当院における悪性大腸狭窄に対するステント留置の治療経験を報告した。
索引用語 大腸ステント, 悪性大腸狭窄