セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-007:

Virchow転移を認めた大腸原発内分泌細胞癌の1例

演者 嘉山 貴文(磐田市立総合病院 消化器外科)
共同演者 宇野 彰晋(磐田市立総合病院 消化器外科), 川田 三四郎(磐田市立総合病院 消化器外科), 小坂 隼人(磐田市立総合病院 消化器外科), 鳥居 翔(磐田市立総合病院 消化器外科), 福本 和彦(磐田市立総合病院 消化器外科), 神藤 修(磐田市立総合病院 消化器外科), 深澤 貴子(磐田市立総合病院 消化器外科), 稲葉 圭介(磐田市立総合病院 消化器外科), 松本 圭五(磐田市立総合病院 消化器外科), 落合 秀人(磐田市立総合病院 消化器外科), 鈴木 昌八(磐田市立総合病院 消化器外科), 北村 宏(磐田市立総合病院 消化器外科)
抄録 【はじめに】消化管の内分泌細胞癌は、早期より転移をきたす予後不良な腫瘍である。また大腸を原発とする内分泌細胞癌は大腸癌の約0.2%とまれな疾患である。今回われわれはVirchow転移を認めた大腸原発内分泌細胞癌の1例を経験したので文献的考察を加えて報告する。【症例】65歳男性。繰り返す黒色便を主訴に近医を受診した。血液検査で貧血ならびに腫瘍マーカーの上昇を認め、当院に紹介受診となった。下部消化管内視鏡検査で上行結腸に全周性の2型腫瘍を認め、生検では内分泌細胞癌が疑われた。胸腹部造影CTで、上行結腸に全層性の腫瘤を認め、さらに腹腔内,縦隔,および左鎖骨上窩のリンパ節腫大を認めた。領域以外の多数のリンパ節転移を伴うcStageIVの進行上行結腸癌に対して、腹腔鏡下結腸右半切除術および中心静脈ポート挿入術を施行した。腫瘍は径7.0x5.0cmの2型の腫瘍でpSEsNxsH0sP0cM1でfStageIVであった。病理診断では腫瘍細胞のN/C比が高く、多数の核分裂像が散見され、MIB-1 indexは80%以上であった。また高度の血管侵襲およびリンパ管侵襲を認めた。免疫染色でsynaptophysin、chromogranin陽性、CD56陰性、CK5/6陰性であり、neuroendocraine cell carcinomaと診断した。現在外来でBV+FOLFIRI療法を施行中である。【まとめ】大腸内分泌細胞癌は1年以内の癌死が約80%と非常に予後不良で生物学的悪性度が極めて高く、集学的治療が必要と考えられる。本症例は、初診時より下部消化管領域ではまれなVirchow転移をはじめ、多数の領域外リンパ節転移を認めた。本症例に対し、肺小細胞癌に準じた多剤併用の化学療法を行い、長期生存を得た報告例も散在するが、確立された治療は未だないのが現状である。近年分子標的治療薬を含めたFOLFOX、FOLFIRI等の多剤併用化学療法が進行再発大腸癌にで治療効果を得られているが、大腸内分泌細胞癌にも使用される報告も増加している。今後 より治療効果の高い化学療法の検討が必要であると思われる。
索引用語 大腸内分泌細胞癌, Virchow転移