抄録 |
【はじめに】総胆管結石症例においてEUSは総胆管全体を描出することができ、体外式USで描出しにくい部分やCT陰性結石も描出することが期待できる。【目的】総胆管結石症におけるEUSの有用性と問題点をretrospectiveに検討する。【対象】2010年4月~2013年3月に臨床的に総胆管結石症が疑われEUSを施行した58例【方法】EUSで総胆管に結石あるいは胆泥を認めた(EUS陽性群)18例とそれらを認めなかった(EUS陰性群)40例を比較検討した。【検討項目】1)体外式US、CT、MRCPの描出能、2)ERC施行例(結石の個数、大きさ、排石の有無)、3)再発例【患者背景】EUS陽性群、EUS陰性群の順に男女比13:5/19:21、平均年齢70.9歳/63.6歳、胆嚢に胆石あるいは胆泥を認めたもの19例中13例(68.4%)/40例中32例(80%)【結果】1)結石描出率はUS7.0%、CT7.2%、MRCP3.6%、EUS31.0%であった。EUS陽性群、EUS陰性群別に見ると体外式US5.9%/7.5%、CT11.8%/5.3%、MRCP25%/0%でいずれも有意差を認めなかった。2)ERC施行件数は。EUS陽性群、EUS陰性群別に83%/10%、結石あり46.7%/50%、結石が1個のみ66.7%/100%、結石の大きさの平均4.8mm/3.5mm、切石時排石を確認できた症例53.3%/25%。ERC施行件数のみ有意差あり。3)EUS陰性例で5例(12.5%)に再発を認めた。4例はERC未施行。多くは胆嚢からの落石であった。1例のみ切石をしていたが排石は確認できなかった症例であった。【考察】他の検査に比べるとEUSは総胆管結石の描出率が高く、ERCを行う根拠となっていた。だが、EUS陽性群、陰性群で他の検査や結石の個数や大きさに有意差は見られなかった。また、EUS陽性例でも半数は切石時排石したことを確認できていなかったが、それらの症例やEUS陰性例の中にはその後再発が見られる例も少なくpassed stoneであった可能性も考えられた。【結語】総胆管結石が疑われる症例に対するEUSは、侵襲的なERCを回避できる可能性がある。 |