セッション情報 一般演題(専修医(卒後3-5年))

タイトル O-137:

当院における10年以上の長期生存が得られた肝細胞癌の検討

演者 瀧浪 将貴(聖隷浜松病院 消化器内科)
共同演者 室久 剛(聖隷浜松病院 消化器内科), 海野 修平(聖隷浜松病院 消化器内科), 田村 智(聖隷浜松病院 消化器内科), 小林 陽介(聖隷浜松病院 消化器内科), 木全 政晴(聖隷浜松病院 消化器内科), 芳澤 社(聖隷浜松病院 消化器内科), 舘野 誠(聖隷浜松病院 消化器内科), 熊岡 浩子(聖隷浜松病院 消化器内科), 清水 恵理奈(聖隷浜松病院 消化器内科), 細田 佳佐(聖隷浜松病院 消化器内科), 佐藤 嘉彦(聖隷浜松病院 消化器内科), 長澤 正通(聖隷浜松病院 消化器内科)
抄録 【目的】肝細胞癌治療は近年多様化しているが依然として長期生存例は少ない.今回我々は治療にて長期生存が得られた症例の特徴について解析した.【対象と方法】2006年から2010年の間に当院で診療した肝細胞癌327例(男/女 239/88)のうち診断から10年以上生存した15例(男/女 12/3)を抽出して治療経過について比較・検討した.【結果】初発時年齢は59.8歳(49.1-70.9).現在生存7例,死亡8例で全例癌死であった.生存期間は平均12.9年(10.2-19.0)であった.背景肝疾患・ウイルスはHBs抗原陽性 4(27%)/HCV 抗体陽性10(67%,うち検査した8例中4例はHBc抗体陽性)/ Budd-Chiari症候群1例(7%)であった.初発時の平均最大腫瘍径は2.6cm,単発/多発 9(60%)/6例(40%)で,Stage 1/2/3 2(13%)/9(60%)/4例(27%).全例でChild-Pugh grade A.初回治療は手術7例,RFA単独2例,TACE+PEIT2例,TACE単独4例で,それぞれの平均無再発期間は8.2年,1.6年,1.5年,3.8年であった.手術例の1例を除く14例(93%)で再発がみられ,全例で再治療が行われた.初回治療を含めた全経過中に手術7例,RFA 8例,PEIT 3例,TACE 12例,肝動注2 例,ソラフェニブ1例で施行され,1例あたり平均8.0回(2-14回)の治療が施行された.治療法別では,手術は全例1回,RFA平均4.1回,PEIT平均2.3回,TACE平均5.9回が施行された.再発ありの14例中11例は2種以上の治療が行われたが,1例はTACEのみ(2回),2例はRFAのみ(8回,12回)が施行された.抗ウイルス治療としてはHCVの3例はIFNでSVR,HBVの1例のみ核酸アナログ投与がなされた.【結語】肝細胞癌の10年生存例の検討では,初発時の肝予備能が良好であること以外は特定の傾向はみられなかった.再発病変に対してきめ細かく,追加治療を行っていくことが重要であると思われた.
索引用語 肝細胞癌, 長期生存