セッション情報 | 一般演題 |
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タイトル | O-073:ステロイドが著効し、自己免疫の関与が疑われた肝門部胆管狭窄の1例 |
演者 | 杉本 真也(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科) |
共同演者 | 松林 宏行(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 角嶋 直美(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 田中 雅樹(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 滝沢 耕平(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 堀田 欣一(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 今井 健一郎(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 川田 登(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 五十嵐 公洋(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 吉田 将雄(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 新城 邦裕(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科), 小野 裕之(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科) |
抄録 | 【症例】70歳代、男性。黄褐色尿を主訴に前医を受診し、精査加療目的で当院紹介受診となった。既往歴、生活歴に特記事項は認めなかった。腹部造影CTでは肝門部胆管に後期動脈相から門脈相にかけて濃染する結節性病変を認めた。膵腫大は認められなかった。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)では肝門部に高度の、下部胆管に軽度のsegmental strictureを認め、肝門部胆管癌またはIgG4関連硬化性胆管炎(IgG4-SC)を疑った。管腔内超音波検査では肝門部から下部胆管まで連続する壁肥厚が確認された。膵管には狭細像を認めなかった。胆管生検を計2回施行したが悪性所見はなく、10個/HPF のIgG4陽性細胞を認めた。血清IgG値は889mg/dl、IgG4値は6.1mg/dlであり、ともに基準範囲内で自己抗体(抗核抗体、リウマチ因子(RAPA)も陰性であった。IgG4-SCの診断基準は満たさなかったが、胆管生検結果から自己免疫が関与した硬化性胆管炎を疑い、ステロイド内服治療(30mg/day)を開始した。2か月後のERCPで胆管狭窄は改善しており、胆管生検でIgG4陽性細胞の消失を確認した。その後はステロイドの投与量を漸減しつつ、CT・血液検査で経過観察中である。1年4か月の経過観察期間中に、血清IgG値の上昇(1957mg/dl)と抗核抗体(80倍)、RAPA(80倍)の陽性化を認めたものの、胆管狭窄の再燃は指摘認めていない。【考察】膵病変を伴わない肝門部胆管狭窄例ではIgG4-SC、原発性硬化性胆管炎、および肝門部胆管癌の鑑別が重要となる。本例は胆管生検組織にIgG4陽性細胞を認めるものの、IgG4-SCの診断基準は満たしていなかった。ステロイド治療に反応したことから、自己免疫の関与の疑われた肝門部胆管狭窄例であり、不要な手術を回避するという観点からもこのような症例の存在を念頭に置くことが重要と考えられた。 |
索引用語 | IgG-4関連硬化性胆管炎, 肝門部胆管狭窄 |